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「選択の自由」が特徴、シマンテックやエクスペディア、ペイパルなどが採用

“OpenStack専業”ミランティス幹部、日本進出の狙いを語る

2015年02月05日 14時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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他社OpenStackディストリビューションとの違いは「選択の自由さ」

 豊富な顧客へのソリューション提供実績に基づき、ミランティスが開発する商用OpenStackディストリビューションが「Mirantis OpenStack(MOS)」だ。現在では、ミランティスの売上の中心はMOSのサブスクリプションからだという。

 市場では現在、さまざまなベンダーがそれぞれ独自の商用OpenStackディストリビューションを提供し始めている。レンスキー氏は、ミランティスにとってのOpenStackは「(汎用的な)Webサービスの開発/実行プラットフォーム」だと述べ、そのうえで他社との差別化ポイントとして「ベンダーニュートラルな自由度の高さ」を強調する。

 「多くのベンダーでは、OpenStackだけでなく上のレイヤー(PaaS)、下のレイヤー(ハイパーバイザ、ストレージ、ネットワーク)のソリューションも提供しており、自社どうしの組み合わせが前提となっている。ユーザーが上下のレイヤーでほかのコンポーネントを使いたくても、自由度が少ない。ミランティスはあくまでも『OpenStackのレイヤー』だけにフォーカスして、上下のレイヤーは自由に選べるようにしている」

 その言葉どおり、MOSでは多様なベンダーとのアライアンスに基づき、幅広いLinuxディストリビューション、ハイパーバイザ、ネットワーク/SDN、ストレージをサポートしている。「開発者には多彩なPaaSの選択肢を、またインフラ管理者には自社環境に合ったコンポーネントを、それぞれ提供できる」。

ミランティスはOpenStackだけに注力し、PaaSレイヤー/インフラレイヤーは多彩なベンダーとのアライアンスを進める戦略

 そのほかMOSの特徴として、ミランティスが開発を主導するOpenStackインストーラ/管理ツール「Fuel」により迅速にデプロイできること、OpenStackのコアコンポーネントをさらに検証してコード品質を高めていることなどを、レンスキー氏は挙げた。

安定性、可用性も重視しており「インストール直後の状態で、200ノードのOpenStack環境でも動作するようテストしている」という

顧客やパートナーとの密接な関係、日本市場でも

 ミランティスでは、商用環境の構築から得られた経験を、積極的にコミュニティへとフィードバックしている。レンスキー氏は、OpenStackコミュニティにおいて、同社がコントリビューションしたコードのライン数は「TOP3に入る」と語る。

 「これまで、顧客やパートナーと密接な関係を築き、一緒に苦労しながら学んだことをコミュニティにフィードバックしてきた。日本の顧客やパートナーとも、同じように関係を構築していきたい」

 また日本市場における戦略について、ミランティス・ジャパン リージョナルディレクターに就任した下平 中氏は、「OpenStackの良さを顧客に伝えるとともに、グローバルでの経験を生かした提案を行いたい」と語った。

 なお、ミランティスではOpenStack技術者向けの認証試験を提供しているが、日本市場においてもその試験を提供していく意向であることも明らかにした。

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