低カロリーに向かないフレーバーは「キャラメル」!?
――ジェラートについても聞かせてください。
田中 ジェラートの前にサンデータイプのものを発売していたんですけれども、また違うものは作れないかとアイディア会議をやっていたら、「ジェラートにしたらどうか」という意見が出たんです。
ジェラートって、日本では「素材の味がする」「なめらか」「低カロリー」というイメージがありますよね。これはカロリーコントロールに合うなと。おいしさと低カロリーをもったイメージがあるから、いけるんちゃう、って。
ただ、困ったのは、あのジェラートのねっとりした食感。これをどこまで再現できるか。あと、サンデータイプの場合は、ソースを表面だけにかけていたんです。それだと食べ進めていくうちになくなるので、最後まで全部ソースを入っているものにしたいなあと。低カロリーのソースは開発できていたので、ジェラートのねっとりとした食感を維持できるようにしつつ、どこまでソースを入れていくかが勝負でした。
――調整が大変そうですね……。
田中 試作品を作る時に、大体、90kcalぐらいで作るんですよ。そこから、ちょっとずつ削っていく。1割増しぐらいならやりようがある。「こんぐらいか」というボディ、骨組みを掴んで、徐々に減らしていくわけです。
――ジェラートといえば「ブルーベリー&チーズ」がラインナップされていますが、これまた、チーズのカロリーが高そうというイメージがあります。
田中 チーズは、クリームチーズとマスカルポーネの原料で風味を出しています。もちろん入れすぎはできないんですけれども、良かったのはブルーベリーを選んだこと。甘酸っぱさの主張が強い原料なんです。この風味を出したことで、アイスとして成立したなと。そういう選定の仕方をしましたね。
――ブルーベリーが低カロリーのアイスに向いていたとは! 逆に、低カロリーで作るには不向きなアイスのフレーバーってあるんですか?
田中 大変なのは「キャラメル」。砂糖たっぷりなものなので……。作ったことはあるんですが、やっぱり難しいですよね。おいしくて、納得できるものがまだ作れない。あとは「バナナ」かな。果糖が多いフルーツはやりにくいんです。「イチゴ」はかつて製品化したんですが、あれも難しかった。
料理って、お金をかければおいしいものは作れるんですよ。でもこれは、お金をかけても作れなかったりするので……カロリーの縛りというものは大きいですねえ。まあ「やる気と根性」みたいなところもあるんですけど(笑)。どれだけこっちが強い意志でやるか、という。
――“ボツ”になったフレーバーもあるわけですよね。
田中 一番最初のオクラ入りは「ロイヤルミルクティー」でしたね。そこそこよくできたと思ったんですが……営業の会議で「おいしくない」の大合唱で断念しました(笑)。「マロングラッセ」もオクラ入りしました。ちょっと季節モノすぎるかなあ、ということで。味は今でもよかったと思ってはいるんですけどね。
あとはソフトクリームタイプ。80kcalで作ったら、コーンが大変で……実際に作ってみたら、すごく小さくなった(笑)。これはちょっとダメだなあ、ということになりました。
(次ページでは、試行錯誤もあれば、うれしい出会いもあった)