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今秋登場のUbuntuスマホ、狙いはローエンドではなくAndroid対抗

2014年07月19日 15時00分更新

文● 末岡洋子

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 「Firefox OS」「Tizen」などとともに2013年に名乗りを上げた新しいモバイルOSの1つが、Ubuntuだ。LinuxディストリビューションのUbuntuがコンバージェンス戦略の下でモバイルに拡大するもので、今秋にも2社から端末が登場する。

 だが、Firefox OSが新興市場を狙うのに対し、Ubuntuが狙うのはAndroidユーザーだ。6月に中国上海で開催された「Mobile Asia Expo 2014」で、Ubuntuを開発する英Canonicalでモバイル事業を統括するCristian Parrino氏に話を聞いた。

Canonicalでデバイスメーカー、オペレーター、アプリエコシステム、プラットフォーム上のサービスなどモバイル事業を統括するCristian Parrino氏

年内にスペインと中国の2メーカーから
端末がリリース予定

――2月にスペインBQ、中国MeizuのOEM2社と提携を発表しました。年内に端末が登場する予定とのことでしたが、その後の経過は?

Parrino氏(以下、同) 順調に進んでいる。まずはBQ、その後MeizuがUbuntuスマートフォンの発売を開始する。2社はそれぞれオンラインの直販チャネルを持っており、そこで購入各市場に向けたキャンペーンを展開する予定だ。

Ubuntuのブースでは秋のMeizuローンチに向けて中国のユーザーにアピールしていた

――第一弾としてBQ、Meizuと最初に組んだ理由は? ハイエンドスマートフォンにとって重要な米国市場での展開予定は?

 Meizuの地元である中国は世界最大の市場だ。人口だけではなく、中国のモバイルユーザーは、世界的に見ても高度な技術を使いこなす高いレベルのユーザーだ。WeiboやWeChatなどのサービスは、FacebookやTwitterの中国版と言われるが、実際は数歩進んでおり、ユーザーの日常生活のニーズに合わせたサービスを提供している。

 Ubuntuスマートフォンはエンゲージ、インタラクション、コンテンツをどうやって見つけるかなどで、これまでとは違うものを提供する。従来のスマートフォンを変えたいと思っており、中国のユーザーは我々が狙う層だ。また中国のキャリアも、コンテンツを重視しており、我々のアプリ戦略の中心である「Scope」(Ubuntu特有の機能で、さまざまなデータフィードからコンテンツを集めたページ)がこれを支援できる。

FIFA World CupのScopeの例

 BQは我々のホームグラウンドの欧州でのパートナーとして選んだ。BQは直販で実績を上げたベンダーであり、高品質なデバイスを低価格で製造できる能力を評価している。将来的には米国でも展開したいと思っているが、具体的な計画はまだお話できない。

 2社のローンチ後に新しいOEMを発表したいと思っているが、まずは2社からのローンチを成功させることに全力を注ぎたい。

まずは熱心なUbuntuファンを獲得することで
ユーザー層を広げていく

――第二弾としている、通信キャリアからの登場はいつになるのでしょうか?

 1年前にキャリア向けのグループ「Canonical Carrier Advisory Group(CAG)」を立ち上げた。Ubuntuの開発に対して早期に情報を得たり、フィードバックを送ることができるもので、現在15社が参加している。この中にはVerizonやVodafoneなどの大手が参加しており、製品ローンチにコミットしているキャリアもある。

 キャリアについてはMeizuとBQの製品ローンチの後に発表する。おそらく2015年第1四半期に発売になるだろう。

――Firefox OSスマホのリリースから約1年が経過しました。同じ新しいOSとして、Fifefox OSのローンチをどう見ますか? なにか学んだことは?

 新しいOSではFirefox OSだけではなく、Windows Phoneも挙げたい。これら2種類のOSを見ていて、我々が学んだことは主に2つある。まずは、ユーザーが知らないOSを(いきなり)店頭で販売してもうまくいかないということ。ショップの営業担当は自分がよく知っている端末を顧客に紹介する――それはつまりiOSとAndroidだ。それよりも、熱意あるファンを(小売とは別のところで)最初につかむことが大切だ。

 また、“それなりによい”レベルの製品ではだめだということ。ユーザーが望む製品、欲しいと思うすばらしい製品を提供する必要がある。Ubuntuは高品質のスマートフォンを求めやすい価格で実現する。Scopeはまったく新しいユーザー体験を提供する。アプリのような体験をOS上で直接提供するもので、Ubuntuのユーザー体験は(外部の)アプリへの依存が少なくOSそのものに依存することになる。

――Ubuntuの差別化はScopeになるとのことですが、どうやってScopeの開発を奨励するのですか?

 Scopeは20行程度のコードを書き加えるだけであり、開発のコストや手間は非常に少ない。開発者にとって重要なことは、開発やメンテナンスのコスト、対象となるプラットフォームにどのぐらいの潜在ユーザーがいるのか、この2つだ。後者はタマゴかニワトリかの問題だが、Scopeはこの2つを解決できる。

 ScopeはAPIセットとツールキットを利用して構築でき、しかもリッチな体験を実現できる。ネイティブアプリを開発するほどのコストはかからないので、コンテンツ側、コンテンツを提供したいキャリアやメーカー側は、新しい体験として興味を持ってもらっている。Amazon、eBayなど多数の企業がすでにUbuntuにコミットしてScopeを作成しており、端末が登場する前から数にして3桁のScopeが作成されている。

Nexus 10でUbuntuを動かしていた。上部にAmazon、BaiduのScopeがある

 キャリアなら、Scopeを集めたScopeを作ることもできる。例えば上海にいるユーザーに、地元の交通局、天気、観光情報などを集めてシティーガイドを作ることができるし、W杯などのイベントに合わせて一時的なScopeを作ることもできる。

 このように、端末のターゲット層に合わせて若者向け、ビジネス向け、女性向けなどのScopeを簡単に作ることができる。BQやMeizuも利用しており、OEMやキャリアは差別化を図ることができる。マネタイズの手段にもなるので、Androidでの問題(アプリはすべてGoogleの収益になる)を解消できる魅力的な代替となるはずだ。

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