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マイクロソフト、Xbox Oneの戦略を変更

2014年05月20日 07時00分更新

文● Taylor Hatmaker via ReadWrite

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責任者が変わり新体制となったXboxチームは、消費者の意見を取り入れビジネスの立て直しを図っている

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マイクロソフトは消費者の意見を取り入れ、発売当初から不評だったXbox Oneのポリシーを変更した。

6月9日からマイクロソフトは、Kinectが付属しないスタンドアロン版のXbox Oneを399ドルで販売する。Kinectを別売りするのと同時に、マイクロソフトはXboxに関する本質的な変更も発表した。マイクロソフトはXboxユーザーに対して、NetflixやHulu、その他のストリーミング・エンターテイメント・アプリを無料で開放する。従来、これらのアプリを楽しむためにはユーザーは高額なXbox Live Goldサービス(年間60ドルから)に加入する必要があった。

Kinectはマイクロソフトの3Dモーションカメラで、音声やジェスチャーによるコマンドを可能にする端末だ。しかしこのKinectは、マイクロソフトのXbox OneとソニーのPlayStation 4(399ドル)の価格差(と売れ行きの差)の最大の要因であるとされている。今回の背景には戦略面の変更だけでなく、リーダーが変わった事による影響もあるとみられる。Xbox事業の総責任者だったドン・マトリックは去年Zyngaへと移り、それに続いてXboxの商品リーダーであったマーク・ウィッテンもSonosへと去っているのだ。幸いにも、長年マイクロソフトの従業員であり、Xboxの新たな責任者となったフィル・スペンサーは、これまでの戦略的な誤りを認め、軌道修正を図っているようだ。

NetflixとHuluがついに開放される

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オンラインのマルチプレイヤー対戦や、その他のオンライン・ゲーム機能にはまだXbox Live Goldアカウントが必要だが、ESPN、NBA、NHL、UFC、Twitch、Machinimaなどのあらゆるアプリを、全てのユーザーが無料で利用できるようになる。この戦略によって、マイクロソフトがXbox One専用に制作する映像コンテンツも再構成されるかもしれない。Xbox One専用動画には、最近話題を集めたクレイジーなAtariの伝説(※)に関するドキュメンタリーを含む、少なくとも6つのオリジナルのテレビシリーズが含まれている。

※米ゲーム会社のAtariが、売れ残った大量のゲームソフトを埋立地に廃棄したという伝説があり、最近それが本当に発掘された。

これらのアプリやコンテンツを誰もが利用できるとなれば、Xbox Oneはカジュアルなリビングルーム端末として俄然魅力的に思えてくる。本来マイクロソフトはこれを求めていたはずだ。マイクロソフトは以前にも一度、過度なDRMやインターネット接続への要求、非常に狭い地域制限などに対するコア・ゲーマー達からの抗議に直接対応する形で、大きなポリシーの変更を行ったことがある。

今回の値下げのニュースを見て、マイクロソフトのXbox Oneが販売不調だと結論付けるのは簡単だ。確かにその通りではあるだろう。しかし、これにはもっと大きな狙いが隠されている。

399ドルという新価格はKinectを別売りにした結果であり、Xbox One自体の価格は変わっていないところがポイントだ。Kinectは別に欲しくないという人も多く、Xbox Oneの購入を検討している人には最初からこの選択肢があるべきだったのかもしれない。この秋にはKinect単体の販売が始まる予定で、現在出荷されているものよりも性能も向上するだろう。

Xbox Wireブログより:

我々はこれまでずっと、皆様への素晴らしいゲームとエンターテイメントの提供に注力してきました。皆様のご意見は我々にとって重要で、それが我々の将来の商品やサービスを形作っていきます。これまで頂いたフィードバックは昨年11月にローンチしたXbox Oneにも反映されており、毎月のアップデートにも影響しています

中でもXbox Oneにより多くの選択肢を望む声や、ゲームやエンターテイメントだけでなくハードウェアにも多くの選択肢が欲しいという意見を多く頂きました

長期的な戦略

マイクロソフトは、このような購入時の選択肢をできるだけ早い段階で消費者に提供すべきだ。Xboxの極端に厳格なNetflixに関する取り扱いポリシーは既に時代遅れである。高額なオリジナル・コンテンツの配信を開始するより先に、視聴者の獲得に勤しむべきなのだ。

一方のソニーは、Xbox OneのライバルであるPlayStation 4を2014年4月までに累計700万台も出荷している。マイクロソフトは2014年1月末時点でXbox Oneを累計400万台出荷しているが、それ以後出荷台数については言及していない。IT業界では、ノーコメントの場合には状況が悪いことが多い。あまり良くないか、相当に悪いかのいずれかなのだろう。

しかし、このゲーム機を巡る戦いの勝者を決めてしまうのにはまだ早すぎる。PlayStation 4の出だしは好調だが、マイクロソフトは謙虚に消費者の意見を取り入れる姿勢をみせている。この戦略は、展開が遅く長丁場となるゲーム機の戦いには適しているかもしれないのだ。

Taylor Hatmaker
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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