スマートウォッチは年内登場か?
ネガティブな状況からHTCは復活できるか
HTCはM8効果により第2四半期には黒字に転ずると予想している。財務アナリストも第2四半期から第4四半期に黒字転換を果たすと予想するが、根本的な好転となるかとなると疑問だ。スマートフォン市場ではそもそもフラグシップ機は焦点にはなっていない。しかし、HTCのターゲットユーザーはまさにこのハイエンド市場にいる。
根強いファンを持つ同社だが、技術面での優位性よりもマーケティングの重要性が高まっている中でSamsungほどのマーケティングコストは割けない。既存のファンをつなぎ止めるため、そして新しいユーザーを獲得するためには明確なメッセージが必要だ。HTCは今回、俳優であるGary Oldman氏をイメージキャラクターに起用、CMでは薄暗い家の中で机に座ったOldman氏が「HTC Oneは自分の意見を持つ人向けにデザインされている」「インターネットに尋ねればわかる」と語りかける。ハイエンドではまた、Motorolaが予定通りLenovoに買収されるとなると、戦いがさらに激化することが予想される。
戦いはスマートフォンだけではない。タブレットやウェアラブル端末にも争いは拡大しているが、ここもHTCには課題。タブレットは2011年に「HTC Flyer」を投入したきり。ウェアラブルは各社がスマートフォンと連携するリストバンドやスマートウォッチでアプローチする中、HTCは製品がない状態だ。HTCはタブレット、ウェアラブルともに開発を進めており、まずはスマートウォッチを年内に発売予定とみられている。といっても、Samsung、ソニー、LG、Huawei、ZTEなどはすでにそれぞれ製品を出しており、遅れをとった印象は否めない。
BlackBerry、Nokia、Motorolaといい、一度下降線に入るとカムバックが難しいのがモバイル業界だ。HTCはこれまでのパターンを破って盛り返すことができるのか? まずは春のスマホの戦いがどう展開するのかに注目だ。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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