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いかにして生き残れるモノ=変化できるモノになったのか

“地道さ”が生んだ新しいThinkPad X1 Carbonの“新しさ”

2014年02月19日 12時00分更新

文● 貝塚怜/ASCII.jp編集部

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開いた時に完全にフラットになるように再設計されたボトム部。ゴム足の形状にも変化が見られる。また、継ぎ目はボトムに移動。側面からは継ぎ目が見えないデザインになった

—— デザインもより洗練されていますよね。前モデルと比べて。

河野「そこも今回こだわったポイントですね。例えばディスプレーのガラスが四辺とも縁まで来ているとか、側面から見た時にボトム側の継ぎ目が見えないとか。よりすっきりとしたデザインに仕上げています」

大塚「デザインは、基本的にはデザインチームが決めるものですが、設計側としても、なるべく『外観のよさをそこなわないように』といつも思っています。ボトムは逆さの箱型になるので、強度的にはむしろ良かったのですが、ディスプレーガラスの方はなかなか苦労しましたね。ガラスの面積が大きくなる分、強度も弱まるので。特に垂直落下のテストが中々パスできませんでした」

米田「割れては作り直し、割れては作り直しということになります。ガラスの厚みも前モデルの0.7mmから0.55mmまで薄くしたので、強度の確保には苦労しました」

Adaptiveキーボードの構造。EL、液晶、センサー、パネル組み合わせている。意外にシンプルだ

—— Adaptiveキーボードの“構造”についても詳しく教えてください。

河野「まずELバックライトがあって、その上に液晶、センサー、アクリルパネルと重なっています。液晶でキーを表示し、ELで下から照らしている構造です。構造としてはシンプルですが、やはり一般的なキーボードとは全く違うものなので、ソフト側での制御が必要な面もありました。普通のキーボードなら閉じたときにディスプレーに触れないようにすれば済むことでも、静電式のセンサーを使うとそうはいきません」

米田「人の指が触れたのか、ディスプレーが閉じられたのかをきちんと判断しないと、ディスプレーを閉じただけなのに指が触れたと認識して誤作動を起こしてしまいますので」

—— 言われればそうですね。静電式センサーだと。

河野「『完全に閉じた』のほかに、『ディスプレーが近付ている・閉じられようとしている』もセンサーで検知し、ソフトウェア側で判断させています。“近付いている”場合は、『Adaptiveキーボードのセンサーに反応があっても指で押したわけではない』と判断するような仕組みを入れているんです。キーボードとディスプレーの間に指を挟んでPCを持ち歩く方っていらっしゃいますよね。そういう持ち方をしても誤作動は起きません」

ディスプレー側とキーボード側をここまで近付けてもディスプレーは消灯しないし、Adaptiveキーボードも反応しない。ソフト側で制御しているためだ

—— ……驚きです!

河野「そのほか、モードを切り替えたつもりがないのに切り替わってしまうのも困りますから、『どのくらいの時間、センサーからの信号があったら指で触っているのか』もソフト側で制御しています。短すぎると誤反応が増えてしまいますが、長過ぎても切り替わるのに時間がかかって快適性がそこなわれます。コンマ何秒かの調整を繰り返して、短過ぎず、長過ぎない最適値と思われる値に設定しました」

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