—— ボードの小型化って、どういった作業なんでしょうか。
大塚「まず、使用するモジュール類の種類やレイアウトを見直しますね。今回は薄型化も課題でしたので、背の低いモジュールを積極的に採用しています。あとは抵抗のサイズも小さいものに変えたりですとか……しかしこれにも限界がありますので、引き続き米田が大変地道な作業をしていくということになります」
米田「(笑)」
—— というと?
米田「回路を1つ1つ見ていくのです。『これはこれに使っている回路だから必要』『これはもしかしたら取り除いても大丈夫かも』という具合ですね」
—— 気が遠くなるようです……。
米田「そうですね。取り除いて問題ないか、影響が出てしまうか、影響が出るとしたらどこに出るのか。それらを考えながら1つ1つ回路を見直していくので、根気は要りますね」
—— 「取り除いても大丈夫」というのは、つまりどういうことですか?
米田「回路には、『ボードがボードとして機能するための回路』だけでなく、『開発側が動作チェックに使用する回路』だったり、『修理時のテストに使う回路』なども沢山あるんですよ。ユーザーに影響が出てしまう回路は除けませんので、そういったテスト用回路の中で除いても問題がなさそうなものを見直していくということですね」
—— ということは、小型化すると同時に、設計時、あるいは将来的な手間も増えてくる可能性があるということですね。
米田「ええ……そういうことになりますね。どこまで自分たちの首を絞められるかということです(笑)」
—— 「軽量化・薄型化」でユーザーは喜びますが、設計者の苦労は増えていく一方ですね……。
大塚「ThinkPadシリーズ全体で定められている回路のレギュレーションもありますので、その中でどう効率的なボードを作っていくかが重要なんですよ。除くだけでなく、回路を増やす場合もありますね。今回、OneLinkコネクターも搭載しているので、ファンの位置など、見直す点はいつもに増して多かった印象です」
—— お話をうかがった後で仕上がった新しいX1 Carbonを改めて見てみると、「ビジネス向けUltrabookのひとつの完成形」という感じがしますね!
河野「部屋の明るさに応じてAdaptiveキーボードの輝度が自動で変わったり、キーボードバックライトが点灯したりなど、細かな使い勝手に配慮した工夫も盛り込んでいますよ!」
大塚「デザイン面、ユーザーエクスペリエンス面の要望にいかにして寄りそうかといったThinkPadシリーズに付きものの努力に加え、Adaptiveキーボードの搭載にともなう新たな挑戦も詰まっているので、我々としても思い入れのあるモデルに仕上がりました!」