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マイクロソフト・トゥディ 第81回

熊本県、全公立学校に電子会議システム「Microsoft Lync」導入

2014年02月06日 11時00分更新

文● 大河原克行

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新たな教育手段を実現するインフラ

 研究発表会が行なわれた高森町は、JR熊本駅から電車を乗り継ぎ、約1時間30分の場所にある高原地帯。トロッコ電車も走る南阿蘇鉄道の終着駅だ。

高森町付近の様子

 もともと町ぐるみでICTの利活用を進めており、公立学校において1人1台のパソコン環境が実現している。また高森中学校は、「平成25年度ICTを活用した「未来の学校」創造プロジェクト推進事業研究推進校」「産学官による普通教室でのICT活用推進実証研究協力校」「平成24年度文部科学省委託国内のICT教育活用好事例の収集・普及・推進に関する調査研究事業協力校」でもあり、全国的にもその取り組みが注目されている。

もともと町ぐるみでICTの利活用を進めており、公立学校において1人1台のパソコン環境を実現。全国的にもその取り組みが注目されている

移動時間なども節約でき、先生が子どもたちに向き合う時間が増える

 熊本県教育長教育政策課の山本朋弘指導主事は、「高森町には小中学校がそれぞれ2校ずつあるが、最も離れている学校同士の距離は約20km。本校と分校同士での合同授業や、先生同士の会議も多い。Lyncによって、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが活発化するだけでなく、打ち合わせのための移動時間なども節約でき、先生が子どもたちに向き合う時間に割けるようになる。その意味で、大変役立つツールだと感じている」とする。

誰でも扱える操作性と、組織内でコミュニケーション回線を構築できる点

 熊本県教育委員会では、2013年4月から、県内10校を対象にLyncの試験運用を行なっており、そこでの導入成果をもとに導入に踏み切った経緯がある。

 「Lyncを選定した理由は、誰でも扱える操作性と、組織内でコミュニケーション回線を構築できる点にある。一般的に無料で利用できるビデオ通話ソフト、サービスなどでは、会議中や授業中にほかの通話が割り込んでくるといったことを制御できず、学校内での利用においては現実的ではない。音声だけでなく、ビデオでも通話が可能であり、フェイス・トゥ・フェイスでコミュニケーションができる。また、画像や動画、パワーポイント資料の共有などが行なえることも利点だ」(熊本県教育長教育政策課の山本朋弘指導主事)とする。

子どもたちにより多くの体験をしてもらえる

 また、公開授業を担当した高森東小学校の杉聖也教諭は、「Lyncを授業で使用するにあたって技術的な困難はまったくなかった。公開授業のためのインストールや設定も、子どもたち自身で行なったほど簡単だった。パソコンと数千円台のウェブカメラがあれば、効率的かつ効果の高い授業ができるので、費用対効果の点でも評価できる。高森町は山間部のため、距離や気象の影響などで、子どもたちを伴って頻繁に外出するわけにもいかない。だが、このような技術を使うことで、子どもたちにもより多くの体験をしてもらえる」と語る。

 Lyncは、企業における会議システムとしての利活用が注目を集めているが、今回の熊本県での取り組みのように、教育分野でも高い成果を発揮することが証明された。

 熊本県教育庁教育政策課では、「21世紀の学習環境を支える基盤として、新しいネットワークの果たすべき役割は重要だと捉えている。この基盤を活用し、子どもたちと先生のコミュニケーションの活性化を目指している」としており、まさに新たな教育手段を実現するインフラとして、Lyncを活用できているといえよう。


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