CloudPlatformはVMwareとの連携を強化
クラウドプラットフォーム分野の製品に関しては、CloudStackベースの基盤を提供する「Citrix CloudPlatform」の最新版4.2が発表された。最新版では特定グループに対してリソースを割り当てる機能が提供された。クラウドプラットフォーム製品について説明したシトリックス・システムズ・ジャパン 事業開発本部 プロダクトマーケティング部の北瀬公彦氏は、「サーバーだけではなく、CPUやメモリも、特定のユーザーに対して占有させることが可能になる」と説明し、マルチテナントの環境で効果を発揮するとアピールした。ちなみにOSSのApache CloudStackもCloudPlatformと同じ4.2となっており、大幅に機能強化されているという。
また、VMwareとの連携を強化。CloudPlatformからvCenterサーバーを経由して、CPUやメモリ、NICを動的な変更したり、VMwareのスナップショット、マイグレーション、クローンなどの機能を呼び出すことが可能になった。サービスプロバイダー向けの機能拡張としては、複数のゾーンを可用性リージョンとして構成する機能や、特定リージョンや複数ゾーンへのオブジェクトストレージ提供、AWS EC2とS3のAPI対応などが提供された。
さらにユーザー管理、価格設定、顧客管理、ヘルプデスクなどのポータル機能を提供する「CloudPlatform Business Manager」も、最新版2.1が発表された。2.1ではサードパーティを含むクラウドサービスのカタログ、ユーザーインターフェイスやワークフロー、課金レポートのカスタマイズ機能などが新たに提供した。
10月から販売パートナーとして富士通が加わり、CloudPlatformとCloudPortal Business Managerの販売を開始するという。
シスコとの連携も強力に推進
また、シスコの製品との連携も強化された。シスコとの協業は、モバイル、ネットワーク、クラウドなどの分野にまたがる包括的なもので、古くから手がけてきたXenDesktopとCisco UCSとの連携のほか、直近ではNetScalerとシスコのNexus、CloudPlatformとCisco UCSとの連携を実現しているという。
具体的には仮想アプライアンスであるNexus 1000V上でNetScaler 1000Vを動作させることが可能になったほか、CloudPlatformからCisco UCSのワークロードを直接プロビジョニングできるようになった。「UCSのサーバープロファイル機能を利用して、物理サーバーのプロビジョニングが可能になっており、他社製品に比べ、管理は容易になった」(氏)。
今回の発表は、シトリックスの幅広い製品ポートフォリオの中で、クラウドとネットワークにフォーカスしたものだが、総じてポイントになるのはパートナーとの協業だ。シスコやVMwareなどの他社製品、各社のクラウドサービスを仮想化プラットフォーム上で緊密に連携する仕組みを提供しており、マルチベンダー・マルチクラウドの水平分業を指向した戦略といえる。今後、販売パートナーとともに、ユーザーに価値のあるソリューションとして展開できるかが成長の鍵となるだろう。