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モバイルデバイス管理ソリューション「XenMobile MDM」も発表

モバイルワークスタイルに重点を置くシトリックスの2013年

2013年03月01日 06時00分更新

文● 渡邊利和

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2月28日、シトリックスは2013年の事業戦略説明会を開催した。2012年の業績は特に日本で好調だったという同社は、2013年に向けて自社のあり方を再定義。「モバイルワークスタイルを実現するクラウドコンピューティングカンパニー」だとした。また、新製品としてモバイルデバイス管理ソリューション「XenMobile MDM」も発表した。

モバイル時代に向けた取り組み強化

 シトリックスは、MetaFrameなどの名称で販売していたWindows環境向けの画面転送によるサーバーサイドコンピューティングのソリューションでよく知られているが、これも「地理的な位置に依存せずいつでも自分のデスクトップ環境に自由にアクセスできる」と考えればモバイルワークスタイルをきわめて早い段階で実現したソリューションだとみることができる。

米シトリックス・システムズ セールスおよびサービス担当シニアバイスプレジデント アル・モンセラット氏

 現在の同社は「XenDesktop」という名称に変わっているものの引き続きこうしたリモートデスクトップ環境を提供しているのに加え、クラウドコンピューティングのためのインフラやサービスまで提供するようになっているが、その目指すところは一貫して「いつでもどこでも仕事ができる」ということであり、その結果として「調和の取れた仕事と生活をすべての人々が送れる」ようにしていく、ということだという。

 まず同社の現状について紹介した米シトリックス・システムズのセールスおよびサービス担当シニアバイスプレジデントのアル・モンセラット氏は、7000社以上の上場企業を対象としたある調査の結果を紹介した。この調査によれば、「過去10年間、毎年増収」「毎年、好調な決算」「過去3年間、キャッシュフロー増加」「時価総額50億ドル以上」という条件を全て満たすのは調査対象企業7000社以上のうち4社しかなく、うちIT関連企業はアップルとシトリックスの2社だという。このことからも、同社が堅調に成長し続け、市場からも高く評価されていることがわかるだろう。

 続いて登壇した日本法人社長のマイケル・キング氏は同社の地理的な事業単位である「南北アメリカ」「EMEA(ヨーロッパ、中近東、アフリカ)」「APAC(アジア太平洋)」「日本」のうち、日本の対前年成長率がトップになったことを明らかにした。

シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長 マイケル・キング氏

 近年の日本経済の停滞感や企業のIT投資抑制傾向からすれば意外な感があるが、現在の同社のソリューションが日本企業の現在のニーズにぴったりと合致していることを裏付けるものだろう。これを踏まえて同氏が2013年の取り組みとして打ち出したのが「Achieving Growth Together(共に成長していく)」というメッセージだ。具体的には、「デスクトップ仮想化とモビリティ」「クラウド&ネットワーキング」「新規ビジネス機会の創出」の3分野で取り組みを進めていくことになる。

XenMobile MDMを投入

 最後に、シトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング本部 本部長の伊藤 利昭氏が2013年の製品戦略について説明を行なった。

シトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング本部 本部長 伊藤 利昭氏

 まず、デスクトップ仮想化を実現するXenDesktopでは、昨年のCitrix Synergyなどで開発状況が紹介された“Project Avalon”が「Windowsアプリケーションとデスクトップを真のクラウドサービスとして提供」するための“Windows-as-a-Service”ソリューションとして位置づけられた上で、今年上半期に最初のリリースとなる“Excalibur Release”が出荷開始されることを明らかにした。また、このリリースからサポートプログラムの内容がグローバル標準に沿ったものに移行し、サービスの均質化/問題解決時間の短縮が図られることも発表された。

XenMobileの主要機能

 さらに、モバイルデバイス向けのソリューションとして「XenMobile」も発表された。まず最初は、昨年末に買収発表されたZenprizeのMDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)を核としたXenMobile MDMと、XenMobile MDMと既存製品であるCitrix CloudGatewayの組み合わせた形の「モバイル ソリューション バンドル」の2製品が発表された。XenMobile全体では、「エンタープライズ向けMDM」「メール、データ、ブラウザ」「MDXテクノロジーによるモバイルアプリコンテナ」「統合アプリストア」「ID連携とSSO」「シナリオベースのアクセス制御」といった主要機能がサポートされる計画となっている。

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