今回のことば
「名前は変わり、ロゴは無くなるが、エルピーダの火は消えない」(エルピーダメモリ・坂本幸雄前社長)
米マイクロン・テクノロジー・インクが、エルピーダメモリの全株式を取得した。
マイクロンのマーク・ダーカンCEOは、「サムスンを抜いて、世界一のメモリー会社になる。社員や顧客、株主、地域社会にとっても最高の会社になる」と宣言。エルピーダが持つ技術を活用して、「1+1の結果を2以上の成果につなげたい」と述べた。
エルピーダは、1999年にNECと日立製作所のDRAM部門が合併し、NEC日立メモリとしてスタート。2000年にエルピーダメモリに社名を変更した。さらに、2003年には三菱電機のDRAM事業を吸収。2004年には東証一部に上場した。だが、2000年代後半から業績が悪化。2012年には自力再建を断念し、東京地方裁判所に会社更生法適用を申請。株式上場も廃止した。
会社更正法適用以降も、管財人として、この更正に取り組んできたのが、エルピーダメモリの社長を務めた坂本幸雄氏だ。
「更正法を適用した会社の社長であり、誇れるところはなにもない」と、自らの社長としての手腕を厳しく自己評価するが、ダーカンCEOは、「坂本氏の果敢な指導力なしには今日を迎えられなかった。心より感謝したい」とコメント。坂本氏とともに管財人として更正に取り組んできた小林信明弁護士は、「坂本社長が更正法を申請することに踏み切った難しい決断が、今日につながっている」と評価する。
坂本氏は、「もし会社更正法を選択しなかったら、会社のなかに銀行が入り、生かさず、殺さずの形で、生きながらえるということになっただろう。また、それに伴い大幅なリストラを実行することになっただろう。だが、これは正しくないと思っていた。更正法を選択するのが遅かったのかもしれないが、自分ではよく決断したと思う」とし、「この間、従業員が必死になってがんばってくれた。そして、優秀な人たちが残ってくれた。こうした人たちが、これからもマイクロンのなかで貢献できるということが、自信となって感じることができた」と語る。
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