業界人の《ことば》から 第43回
国内テレビ市場は、アナログ停波で需要が前倒しになったことが、現在に影響している
JEITA佐々木会長、自信があるなら円安で値上げも判断のひとつ
2013年06月11日 09時00分更新
今回のことば
「4Kテレビは日本の先端技術のフラッグシップ。4Kで、テレビ市場の再活性化につなげていきたい」
(電子情報技術産業協会の佐々木則夫会長=東芝取締役代表執行役社長)
円安緩和・株価上昇は明るい兆し
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、中鉢良治氏(ソニー取締役)の会長任期満了に伴い、新会長として、東芝取締役代表執行役社長の佐々木則夫氏を選出した。佐々木氏は6月25日に、東芝の副会長に就任する予定だ。
JEITAの新会長として会見した佐々木氏は、「新政権が打ち出した金融政策の効果もあり、超円安の是正や株価上昇により、明るい兆しが見えてきた。回復が広がることを大いに期待する。ITの利活用の基盤としてのマイナンバー制度を実現し、国民サービスの向上につなげ、利便性や効率性の高い社会の実現に貢献したい。また、公共データなどのビッグデータの利活用とあわせ、IT・エレクトロニクス技術と他分野との融合により、ライフスタイルや社会を変える新たな製品やサービスにつなげたい」などとした。
また、「IT・エレクトロニクス産業は裾野が広く、自動車産業と並び、我が国の雇用や輸出を支える産業のひとつである。多くの研究開発投資や設備投資により、最先端技術の開発を通じて、様々な産業にも貢献している。イノベーションによって、コモディティ化のスピードに負けない新製品やシステム、サービスを生み出し、ビジネスモデルにつなげることが必要である。当業界が成長分野で事業を展開し、ライフスタイルや社会を変える新たな付加価値を創り出すことが、日本経済の活性化や我が国のグローバル社会での貢献につながる」と述べた。
さらに、「超円高の是正や、研究開発税制の拡充など、一部競争条件は改善傾向にあるが、安定的な電力供給や、国際競争力のある電力料金確保などの課題がある。国際的に公平な競争条件を確保するため、国内のマザー工場や研究開発拠点の維持および強化、法人実効税率のさらなる引き下げや研究開発税制の拡充などの税制改正要望を行っていきたい。また、IT利活用の推進のほか、エネルギー、環境、医療・ヘルスケア、農業などの成長が期待できる分野での規制・制度改革を要望する」と、政策提言活動にも言及した。
7月にも日本の交渉参加が見込まれている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関しては、「JEITAは、積極的に交渉参加へ働きかけを行ってきたが、早期の交渉終了に向けて、今後も活動を推進していく」と語った。
4K、8Kの放送を前倒しすべきだ
一方、佐々木会長は、「昨年度のJEITAの活動成果としては、次世代の4Kおよび8K放送の前倒しが実現することがあげられる。放送開始にあわせて、対応テレビの普及を図り、テレビ市場の再活性化につなげたい」とするとともに、「クラウドコンピューティング関連ビジネスのハード、ソフトの調和ある発展に向けて、4Kおよび8Kテレビなどの高精細テレビやスマートフォン、タブレット端末など、クラウド環境を活用した機器、サービス市場拡大に向けて関係機関と連携していく」と語った。
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