なぜ、日本マイクロソフトは、期間を延長したのか
では、なぜ、日本マイクロソフトは、Windows 8アプリ検証ラボの延長を決定したのだろうか。
ひとつには、これまでの運用実績が高かった点が挙げられる。
同社によると、Windows 8アプリ検証ラボの稼働率は8割以上に達していたという。
実際、利用したアプリケーションベンダーからは、「検証ラボは複数のデバイスを用意しているため、効率的に評価作業が行なえた」、「この施設がなかったら、開発時間がさらに長くなっていただろう」といった声が寄せられている。
日本マイクロソフト Windows本部 Windowsコマーシャルグループの西野道子シニアエグゼクティブプロダクトマネージャーは、「開発後期において、深い検証を行ないたいという要望が多かった。それに応えることができたと考えている」と、これまでの活動を振り返る。
ふたつめには、今後もWindows 8アプリ検証ラボを活用したいという要望がこれから増加すると見込まれることだ。
大手企業におけるシステム導入検討には半年以上の時間がかかるというのが一般的だが、それはWindows 8でも同じだ。しかも、Windows 8は新たなインターフェースを採用しているだけに、それ以上に時間がかかる場合も想定されている。
これらの企業におけるカスタムアプリケーションの検証案件が、これから増加することが見込まれ、同ラボを活用するといったケースが増えることになりそうなのだ。
より効果的に、ラボを活用できる仕掛け
そして、もうひとつ見逃せないのが、Windows 8アプリ検証ラボをより効果的に活用する仕掛けが用意されている点だ。
実は、Windows 8アプリ検証ラボは、当初の計画では、1社あたりの最大利用期間として、4日間という制限を設けていた。だが、本格的に稼働する時点において、この制限を撤廃したのだ。その結果、1社あたりの利用期間は平均1週間へと拡張している。
この背景には、同社が走らせたもうひとつのプログラムの存在がある。
同社では、2013年1月から、「貸出プログラム」と呼ぶ、別の制度を並行して開始している。
これは、貸し出し可能なWindows 8搭載PCを、タブレット端末を中心に約100台を用意。約1週間をめどに、アプリケーションベンダーやシステムインテグレーターなどに貸与しているのだ。検証ラボを利用する前に、貸出プログラムにより実機を用いた検証を実施でき、開発者にとっても柔軟性をもった検証作業が可能になっている。
それに対して、Windows 8アプリ検証ラボでは、開発後期などのフェーズにおいて、深い検証を行ないたいという際に活用してもらうという役割を担うことになったともいえる。
最大4日間という期限を撤廃したことと、貸出プログラムの実施により、Windows 8アプリ検証ラボは徹底検証の場という位置づけに変更。今後、こうした利用が増加することも見込まれる。
また、大手町テクノロジーセンターでは、エンジニアによる技術的な質問にも対応する体制も構築。Windows 8アプリ検証ラボでの検証実施中に発生した課題解決だけにとどまらず、ラボを利用していない開発パートナーからの問い合わせにも対応するといった体制を構築。これも、法人向けWindows 8アプリの開発を加速することにつながっている。
Windows 8の企業への導入はこれから徐々に加速することになる。
最初の3ヵ月よりも、これからの3ヵ月の方が、Windows 8アプリ検証ラボの存在価値が高まるともいえそうだ。
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