AudioBusは個人ディベロッパーのアイディア
―― (前回の話の続きで言えば)iPadも世代によっては、アプリひとつ動かすのがやっとという感じになってきた。すると複数のアプリを動かすというのは、結構大変なことですよね。
井上 そういうことになりますね。
中島 同時に使うアプリの負荷にもよると思うんですが。
井上 何をしていなくても、動いているアプリもあるんですね。アプリの開発者にもよりますが、負荷を減らす処理をしていたり、していなかったり。だから音が出ていないにも関わらず、負荷が高い状況というのもある。その時に、あるシンセの音が割れるという現象が起きたとして、何が悪いのかは一概に言えない。
―― これからAudioBus※1とVirtualMIDIの話になるんですが、そういう状況で使わざるを得ないわけですよね。
井上 高度なことをするユーザーは、そういうことも含めて、全部ご存知であるということを前提にせざるを得ないです。バッファーサイズの問題もあるんですけど、すごく重たい状態になるはずです。
福田 だからAudioBusはiPad 2以上ということになっていますね。最初は初代iPadに対応というような情報を見たのですが、やっぱり重かったんでしょう。
―― ところでAudioBusはどこの規格なんですか?
福田 「Loopy」というアプリを開発したA Tasty Pixel※2、「SoundPrism」を開発したAudanika※3のディベロッパーが立ち上げた規格だと思います。彼らがVirtualMIDIをサポートしようとしていく中で、オーディオもつなぐことができるというアイディアを出してきたんです。
―― なるほど。個人のディベロッパーから始まった話なんですね。
福田 WWDC 2012のキーノートで、iOS6に"Inner-app audio"というAPIが入るかも……つまりAppleがAudioBusのような内部オーディオルーティングをデフォルトでサポートするというスライドが出ていたんですよね。これは何だろう、AudioBusは審査通るのか? と騒がれていたんですが、iOS6が出たらその話題は一切無く。AudioBusも通って現時点に至るという状況です。
※1 Audiobusは有料アプリとして提供される。すでにPropellerheadやMoogなどのシンセアプリも対応。
※2 ユニークなルーパー「Loopy」の開発元であるA Tasty Pixelの公式サイト。デベロッパーはMichael Tyson。今はAudioBusがサイトのメインに。
※3 理論を知らなくても音楽を奏でられるアプリ「SoundPrism」の開発元であるAudanikaの公式サイト。デベロッパーはSebastian Dittmann。
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