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【スペシャル鼎談】清水亮×増井俊之×遠藤諭

世界をプログラミングせよ! でもってMOONってな〜に?

2012年12月28日 16時00分更新

文● 広田稔 語り●清水亮、増井俊之、遠藤諭

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「MOONは見て真似したらバレます」

遠藤 そろそろ、MOONの正体を言いましょう。

清水 まぁMOONはもったいぶるほどでもないんだけど言うほどでもない。今売られている製品の中でMOONみたいな目的のものって存在しないです。一応、解禁の日とか決めているので、現時点でいえるのは、今度ロケに行くってこと(編注:鼎談の収録は12月上旬)。

増井 ロケ?

遠藤 どこに?

「ローレライ」や「日本沈没」などの映画で知られる樋口真嗣氏。UEIのCVO(チーフ・ビジョナリー・オフィサー)も務める

清水 長崎の軍艦島のほうに行って、樋口真嗣監督にショートムービーを撮ってもらおうかと思ってます。

遠藤 ほう。ショートムービー。MOONを世界中に売ろうということで米国法人を作ったとか?

清水 そうそう。あとアマゾンの倉庫と契約するため。

遠藤 アメリカに住んでないと、アマゾン使えないんだ。俺のボールペンも売って。

清水 いいですよ。

増井 何だボールペンって?

遠藤 フローティングペンってあるじゃん。ペンを傾けると東京タワーが昼になったり夜になったりとかするやつ。デンマークのエスケセンって会社が1946年から作っていているんだけど、あれの中でシマシマアニメができちゃう奴をボクが作ったんですね。自分の歩いてる姿をムービーで撮った奴がアニメになっています。

増井 全然欲しくならないんだけど。

清水 遠藤さんが歩いてると思わないで、人が歩いてるという風に見ると欲しくなるんですよ。




増井 MOONってのはそういう感じなの?

清水 いや、MOONはどっちかというと小学生とかに使ってほしい。

遠藤 小学生! 出た、またその作戦だ。デパート業界では「ジャリ集め」っていうんだよ。

清水、増井 アハハ。

遠藤 流通業界の言葉は最高。子供向けのイベントを屋上とかでやることが「ジャリ集め」。あと量販店とかいくと、まったく売れセンじゃないのに目立つところにiPhone用真空管アンプとか置いてあることがあるじゃないですか。あれは「マグネット」って言うんですね。

清水 へー。

増井 なんでマグネット?

遠藤 変わっていて興味を持ちやすいモノを置いて、そのマグネットまでの距離だけ売り場を歩かせて、どれだけ商品を客の目に飛び込ませるかということなんですね。まぁいいですけど、子供狙いなんだ。

清水 子供っていうか、子供を持つ親狙いって言う。

遠藤 それはいい。

清水 まぁiPadを子供のためとかいって買うお父さんがいるじゃん。そういうのと、お父さんも喜べるっていう。

遠藤 なんでハードが必要だったの。ソフトだけでいいじゃん。

清水 そこは、やっぱりハードウェアが持ってるよさってあるわけです。なぜ必要だったかって見れば分かる。MOONは見て真似したらバレます。それぐらい違う。ユーザーインターフェースとかじゃなくて、形からして違うから。これはどういうプロセスで作ったかを話すと、もともとMOONって名前じゃなかった。何かハードを作らなければと思っていたときに、最初はもっと安くできるからありものを買おうかと思ったけど、そんなもの出してどうするのかと。

遠藤 作る必要ないよね。

清水 そうそう。作るんだったら、作るなりの意味が必要じゃないですか。シャープやNEC、アップルとかだったら別ですけど、僕らは製造業じゃないから「軽い」とか「性能がいい」とかは目指せない。やっぱり「かっこいい」とか「置物としていい」というところに行くしかない。例えばブティックの置物を考えると、iPadはもうありふれているという点でダサいところもあるわけです。

遠藤 要するにチームラボが気に入らないんだ。

清水 なんでそういうことになるんですか(笑)。「あいつらゲーム作ってないのに、ゲームが、ゲームが……」って言わせたいんですか。話を戻すと、70万円ぐらいの3Dプリンターを2台買ってきて、2倍のスピードで印刷できるじゃん。それでモックアップを作って、樋口さんとかに見せにいったわけです。こういうことやりたいんだよと伝えたら、「おおなるほど、これはプロップ(小道具)っぽいよね」と。

 樋口さんは、直接絵を書くわけではなくてディレクターですから、ディレクションをやらせるとスゴいわけです。彼を通じると日本国内の70%ぐらいの形を作るデザイナーにアクセスできる。例えばVAIOを作った人とか、そういうプロダクト系をのぞけば、樋口真嗣がアクセスできない人っていないわけです。それこそエヴァの山下いくとさんとか、いろいろな才能にアクセスできる。そういう人は貴重だから、俺と一緒にやってくれないですか、と話をしたのが最初。

遠藤 ほう。

清水 僕はそのプロトタイプについて「こういう邪魔くさいデザインでもいけるんじゃないか」と思っていたんだけど、頼んだデザイナーの人が全然違うものを持ってきて、コラボレーションのすごさを感じた。僕が想像していたものよりずっと洗練されていて、かつ僕が考えたことはできるよスマートなものを作ってきたから。そのせいで部品点数が増えて、造れる工場が減ってしまったんだけどね。

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