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CGMから「感情」の動きを数式化! 大ヒットの方程式とは何?

2012年12月17日 12時00分更新

文● 美和正臣

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映画のCMは内容が分かるものに
CMでの失敗は致命的

――先ほどTwitterとBlog、Facebookが学会で研究対象になっているという話でしたが、差ってあるんですか? 例えばFacebookはこういう傾向があるとか。

はい、差はあります。どういう差があるのかというのは皆が分析をしている段階ですので、学会の態勢としてこうですというのは言えないのですが、仕組みによる部分が大きいだろうという話にはなっています。Blogははっきり言ってサイトを作ればだれでも書ける。で、Twitterというのは誰でもできることはできるけど、ただし1人で書いていてもフォロワーが0だとすごく空しいわけですよね。Blogもまあ0というのはあり得るのだけど、0かどうかというのはよく調べないと分からないから、みんな読んでいると思ってやっている。

――ああ(笑)

他からレスがあるとだんだんと嬉しくなるとか、そういう仕組みがありますよね。あるいは自分が誰のフォローをするのかという。Facebookもある意味同じなんですけど、あれは実在の友達ということなので、もうちょっと仕組みがタイトになっている。そこはかなり大きな差になっていますね。

――ちなみに、それは何の学会なんですか?

ソーシャルメディアワークショップというものです。そのものズバリなんですけど、ただ少数精鋭の非公開のものなので、誰でも参加できるものではないのですが、そのかわりものすごく濃い議論をしています。

――社会学とか経済学とかの研究者が参加されているわけですか?

文理融合ですね。社会学、人文科学、心理学、経済学、情報工学、我々のような物理学、あと実際にネット上の調査をしている会社とか、実際のマーケティングをしている広告会社ですね。いろいろとごちゃ混ぜです。今のところ非公開だからなかなか表に出せないのですが、それぞれの人の研究には跳ね帰っているとは思います。

――基本的に広告費と発売前に途中のBlogの変化量が分かれば大体当たるのか当たらないのかが簡単に分かるのは理解できたのですが、精度の問題はクリアできるのですか?

精度を高めようとする場合には、事前にイベントをやってもらった方がいいですね。

――イベントといいますと?

まあ、映画で言うならば一番簡単なのは試写会なんですけど、ただ試写会は映画の公開日と結構接近しています。1ヵ月、2ヵ月前に試写会をやるというのはほとんどない。だから接近しすぎていて、立て直しが効かない。

――すると映画でいうのならば、試写会というのは公開日の1ヵ月前とかにするといいわけですか?

それくらいがベストでしょうね。この式を使って答えが出ると思います。1ヵ月前にドーンと打ち上げ花火をやって、そのまましばらくほっておいて公開日のときにまたドーンとやるのか、1ヵ月前から公開日までもう、のんべんだらりと同じような形で宣伝をやるのか、それとも1ヵ月前に数日間だけ力を入れて、そのあとちょっとずつ忘れられない程度にやって、そして公開1週間前にまたドーンとやればいいのかとか、どれがいいのかというのは計算で出ます。

映画「大日本人」のシミュレーションとBlog言及数

――著書の中で「大日本人」を宣伝に失敗した例として出されていました。あれは何が失敗したわけですか? あれも結構長い間CMを打っていたような気がするので、宣伝量としては問題がなかったような気がします。

松本人志さんがやったということで、認知はされていましたよね。ただ、CMでは映画の内容がさっぱり分からない。あれはCMの作り方に問題があると思います。ちょっとあれは観る人の興味を惹かなかったと思いますね。

――CMのコンテンツ内容が悪かったわけですか。

そうです。他の例で言うと「宇宙兄弟」がそれに当てはまっています。ウチの学生が調べていて、興行結果はあまりよくなかったと聞いてきたので、内容はどうかなと思っていたら、かなり普通におもしろかったんです。観た後に当時流れていたCMを思い出すと、おもしろい場面をまったく使っていないということに気付きました。だからあれはCMのターゲットを間違えたと思いますね。映画の内容を素直にみると、あれははっきりいってJaxaオタクが好きになるような、要するにようするに宇宙飛行士になるにはどんなテストがあるのかなという、そういう人にはまりそうな内容なんです。ところがテレビでやったCMは小栗旬と岡田将生が出るよという、イケメン2人が出るからおいでという若い女性をターゲットにしていました。映画とCMの内容が相容れません。あのバージョンもいいけど、やはり本来の内容に沿ったもう1バージョンがCMであっても良かったのかなと思うんですよね。

――「宇宙兄弟」に言及したBlogを「KeyGraph」などのツールで調べてみると、ものすごく偏った島ができるわけですか。

そうだと思います。2つに分かれてしまうのではないかなと思いますね。実際にBlogを見てみると、マンガを読んでちゃんと内容が分かっている人は「ここをどうやって映画でやるのか凄く注目だ」という人がいましたし、一方であの映画のCMだけを見た女性は「この岡田君と小栗君、絡む相手役の女性はだれか?」みたいなことが書いてありました。そうすると映画を見に来る層が簡単に2つに分かれてしまうんですよね。

――すると、観て「なんか違う」というようにネガティブな方になると。

そうだと思います。その意味だと「テルマエ・ロマエ」の方が見せ方はうまかった。CMの作り方について本の中に書きましたけど「ALWAYS 三丁目の夕日」の第1作はCMが失敗していると思います。事前に映画の内容を見せていないですよね。Blogでは公開当日にあの映画を見て、CGが凄いので、それから盛り上がっているんです。公開日がトップじゃなくて、さらにその後に盛り上がりがくるんです。だからあれはもっと事前に内容を見せておけば、公開日から盛り上げられたはずです。内容を出さないのであれば、まったく本筋と関係のない昭和の3DのCG場面だけを使えばよかったわけです。多分あれはそれをやれば1割から2割は興行収入が上がっただろうと思いますね。

「ALWAYS 三丁目の夕日」と「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の比較

――そんなに違いますか。

事前の言及数がすごく低いんですよ。こっちは第2作の「ALWAYS 続・三丁目の夕日」です。2作目だから上がるのは分かっていますが、それと比べても本当に少ない。バックグラウンドがないときには本当に0に落ちてしまう。とくに1週間前の数値を見ると「この数値はないだろ!」となります。だからこれは前宣伝に失敗しているんです。ただ、映画自体がよかったからヒットしたのだけど、だから前宣伝の失敗がこの公開日とBlogのピークのギャップになって現れています。遅れてきている、だから実際に観た人から初めて余波が伝わったということが分かります。

――口コミだったわけですね。

そう。その証拠に2作目は内容が分かっているから普通に大ヒットになっているわけです。

――この数式を使って事前に当たるのか当たらないのか分かると嬉しいところは多いですよ。弊社も含めて。

ちらっと見せて、これは行けるぞというのは分かると思います。

――ちらっというと、5分くらいのトレーラーを見せてですか?

5分でもいいし、1分でもいいし、それは視聴者にアピールする範囲でいい。まったく見せないとインターネットはまったく反応がないわけですので、どこかで見せてどれくらい食いつきがあるのか、で計れます。

――例えばアニメコンテンツだと、5分くらいのトレーラーを作って深夜枠のアニメの直後くらいに5分くらい流して、その反応がどうか見ると、そのアニメは当たるかどうかわかる訳ですか。

それはかなりしっかりとデータが取れると思います。深夜枠番組の後ということは深夜枠を見た人が見るわけで、同じファン層になりますよね。しかも深夜枠のアニメの評判とトレーラーの評判とがそれぞれ取れますから、本編でやっていたほうとの比較もできるわけです。だからトレーラーの反応が良ければ、本編よりいい大ヒットになるのは期待できるわけです。逆に本編の書き込みしかない場合は練り直しかなということになりますね。

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