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業界人の《ことば》から 第16回

NEC・遠藤信博代表取締役 執行役員社長:

資源枯渇を救う、第2の資源は「効率化」。ICTが鍵になる

2012年11月20日 09時00分更新

文● 大河原克行

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Explicit(形式知)とImplicit(暗黙知)

 基調講演のなかで、遠藤社長は、直接的に入手が可能な情報をExplicit(形式知)とし、これらの情報から表面的には見えないデータを導き出したものをImplicit(暗黙知)と定義した。

Explicit(形式知)とImplicit(暗黙知)

 ここでは、インドの都市化における課題を例にしながら説明をした。

 インドの都市部では、地下水の枯渇という問題が起こっている。これは表面的な原因分析であり、即応的な対応に終始することになりがちだと指摘する。これを複合的な問題の深堀りにより、全体的視点で対応すると別の問題解決手法が浮き彫りになるという。

 地下水の枯渇を取り巻くなかでは、不法井戸の乱立や過剰利用といった問題のほかに、漏水による水供給力の低下、盗水の横行といった問題も含まれる。突き詰めていけば、警察組織の不全や行政管理の不在が、本質的な課題として浮き彫りにされる。

 これが、ImplicitとExplicitということになる。

 遠藤社長は、さらにもう少しわかりやすい事例で、ImplicitとExplicitを説明する。

 自動車の位置情報と、自動車のワイパーの使用有無や動作速度のデータを組み合わせると、どこでどのぐらいの雨が降っているか、時間とともに、どう雨雲が動いているのかがわかるという事例だ。自動車とワイパーのデータは、直接的に入手が可能な情報をExplicit(形式知)であり、雨雲の推移の状況はImplicit(暗黙知)ということになる。

 「データを集めることで、違う意味合いが見えてくる。早くわかれば対策も打てる。これがビッグデータの面白さである」などとした。

 ここで重視されるのが分析技術だ。

 遠藤社長は、「NECは、世界トップレベルの分析エンジンを持っている」と前置きし、独自の分析技術をベースにしたインバリアント分析、異種混合学習、顔画像解析、行動分析、テキスト含意認識などを、分析サービスとして提供。さらに、これらを順次クラウドサービスとして提供することを示しながら、異種混合学習では、「オフィスにおけるPCの利用状況、働く社員数や性別、天気などをもとにして、1週間後の電力使用量を2~3%の誤差で電力予測ができる。予測ができれば、早い段階から対応が可能になる」などとした。

 これも資源を有効に活用する「効率化」による第2の資源の実例だといえる。

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