今回のことば
「データを集めることで、違う意味合いが見えてくる。早くわかれば対策も打てる。これがビッグデータの面白さである」
(NEC・遠藤信博代表取締役 執行役員社長)
資源の枯渇をICTが救う
NECが開催した同社プライベートイベントの「C&Cユーザフォーラム&iEXPO2012」の基調講演で、NEC・遠藤信博社長は、「人と地球にやさしい情報社会へ ~あらゆる情報を社会の力に~」をテーマに講演した。
講演の冒頭に、遠藤社長が示したのが、意外にも世界的な課題であった。
「昨年度、70億人だった世界人口は、40年後には90億人に達する。しかも、都市への集中傾向が高まり、人口の70%が都市に集中する。課題は、人口集中が30%増であるのに対して、エネルギーは1.8倍必要であり、食糧は1.7倍、水は1.6倍が必要とされ、人口増加を上回るものになる。今後は、資源そのものを増やすのではなく、第2の資源として『効率化』が重視されるようになるだろう」
まるで、IBMが打ち出すスータープラネットの話題のようだが、NECもその領域へと踏み出すことを示したものともいえる。
遠藤社長が、第2の資源を「効率化」とするのには理由がある。
周知のように資源そのものには限界がある。その限られた資源をいかに効率的に利用するのかが、これからの社会では求められる。そして、効率化を生み出すのがICT(Information and Communication Technology)の利活用であり、資源の枯渇をICTが救うというのが遠藤社長の提案だ。
遠藤社長は、資源を分子に、資源の使用量×αを分子にした方程式を示しながら、「ICTがαの部分を1以下にすることで資源を有効に利用できる。クラウド、ビッグデータが、世界のインフラを支え、これによって価値を生む環境が整ってきた」とする。
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