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Windows 8アプリ開発者・システムフレンド西村誠氏、前本知志氏インタビュー

UIの一大変革期に立ち会えるのは嬉しい――システムフレンド西村氏

2012年10月26日 11時00分更新

文● ASCII.jp編集部 写真●小林 伸

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新しいユーザーインターフェースでのアプリ開発は
ウェブデザイナーにチャンスあり!

―― すでに構築されているウェブサービスを呼び出すUIとして作られたアプリというわけですね。それはコンセプト的にはiPhone版も変わらない?

西村 「そうですね」

―― Windows 8用のアプリはケータイのノウハウが使いやすいということは?

Shopbankを開発した西村誠氏。株式会社システムフレンド 部長代理。EC-CUBE公式エバンジェリスト。Windows Phoneハンズオン in 広島コミュニティ主催。Windows 8ストアアプリの開発、コミュニティ活動を行なっている

西村 「Androidと比べると、使い勝手のいい部品が揃っているので、ある程度データを取ってきてしまえば、ShopBankのようなリスト表示系のアプリは素早くできます。本当に作りやすかったですよ」

―― パーツというのは、新しいユーザーインターフェース開発用のSDK?

西村 「SDKに付いているコントロールと呼ばれるものですね」

―― 開発環境はVisual StudioとC#ですか?

西村 「Visual Studio上で、C#とXAML(ザムル)を使っています。Windows PhoneでC#とXAMLを使って開発していたので、そのつながりで使わせていただきました。ちなみにWindows PhoneからWindows 8への移植はすごく楽ですし、技術の習得も比較的楽なので、技術者も移行しやすいと思います」

―― 逆に、これまでと明らかに異なっていたり、ここが難しかったという箇所はありましたか。

西村 「やはり新しいユーザーインターフェース関係ですが、Windows Phoneよりもルールが多くなりましたよね。そして画面サイズ。Windows Phoneは画面サイズが1種類で固定ですが、新しいユーザーインターフェースにはスナップ画面も含めていくつもの画面パターンがありますから、設計の段階でスケールが大きくなりますね。スマートフォンほど簡単ではありません。

 そして、何といってもデザインです。やはり僕はプログラマーなので、“新しいユーザーインターフェースらしいデザイン”と言われてもピンとこない。開発者は周りにたくさんいるのですが、今後はデザイナーの存在が重要になりますね。

 現在のアプリはほぼ典型的というか、新しいユーザーインターフェースっぽいものばかりなんです。まだ始まったばかりですしね。新しいユーザーインターフェースのコントロールをそのまま使って……とか。

 その状態から発展させていくにはデザイナーさんの力が必要で、今後『こういう変化球を入れてみたけどマイクロソフトさんの審査通るかな?』とトライしていくには、僕らプログラマーとデザイナーさんが手を取り合っていかないと、新しいユーザーインターフェースアプリの幅が広がらないかもと思います。

 そんなこともあってデザインでは苦労しました。僕は結局、知り合いのデザイナーさんに手伝ってもらいました。結果は全然違いましたね」

―― 開発環境から見た場合、デザイナーさんとはどういう形でアプリ開発の進捗を管理したのでしょうか。

西村 「今回のデザイナーさんはマイクロソフトの技術とは縁のない方でした。そこで、まずPhotoshopでデザインを作っていただき、アプリへのはめ込み時には、僕が作業しているところを見てもらい、その場で微調整していくという形を取りました」

―― Photoshopで作った画像をデザイナーさんが持ってきて、それを画面レイアウトの設計図に従って西村さんがはめ込む。その様子をデザイナーさんが見ていて、随時指摘する……ようなものだと想像すればいいでしょうか。

西村 「そうです。本当はデザイナーさん向けの開発ツールもありますが、それを使える方はまだ少ないので。スタイルとしてはどうしてもプログラマーがはめ込みも担当することになると思います」

―― その作業自体の難易度はいかがなものでしょうか。

西村 「僕はプログラマーのなかでも特にデザインのはめ込みが苦手な人間なので……(笑)。ちゃんとできる方はできるんでしょうけど、非常に苦労しましたね。四角の中に文字を表示する場合、文字は切れていないかとか。ちゃんとチェックしなくてはいけないというのはあるので」

―― 基本的には、デザイナーさんが作った設計図をもとにVisual Studioでもう一度構築するといった感じでしょうか。

西村 「そういうことです。デザイナーさんがBlendというツールを触れるとすごくいい世の中になるといいますか(笑)。XAMLまで触れるデザイナーさんがほぼいない。本社所在地の広島では皆無という状態です。

 このへんはデザイナーさんが(XAML習得に)どこまで魅力を感じてくれるかですけれど、アプリの開発速度だけでなく、品質も上がると思います」

―― 今回の趣旨とはズレますが、ウェブはそろそろ飽和状態かなと思っているデザイナーがいらっしゃったら、XAMLやBlendなど開発側のお勉強を始めると、仕事が増える可能性もあるということですよね。

西村 「それが伝わるといいんですけどね。新しいユーザーインターフェースになってから、HTMLやJavaScriptでもアプリを作れるようになりました。これは、ウェブデザイナーにも道が開いたことを示します。ぜひ参入して、そこからXAMLに興味を持ってくれたら、もっと連携が密になるなあ、という期待はあります」

―― 新しいユーザーインターフェースは、ウェブデザイナーにも門戸が開いていると。

西村 「そうです。ウェブと同じ言語、同じスキルを使えるので、今回からすごくやりやすくなったと思います。これをきっかけに、デザイン的にもいいものが増えれば」

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