このページの本文へ

Windows Server 2012のすべてを知ろう! ― 第4回

従来のEnterpriseは廃止、Standardもプロセッサライセンスに

Windows Server 2012の価格は日米格差が拡大

2012年08月03日 06時00分更新

文● 横山哲也/グローバルナレッジネットワーク株式会社

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 Windows Server 2012の価格について、初出時には下記のように解説を行ないましたが、「推定小売価格」は文字通り、小売価格を推定したものであり、マイクロソフトが決めた「定価」ではありません。マイクロソフト製品は基本的にオープン価格であり、販売価格はマイクロソフトが決めるものなく、日本と米国では商習慣が違いもあるため価格比較は、あくまでも単なる価格比較として参考にしてください。

 いたずらに扇情的な書き方をしてしまい、読者の皆様に誤った印象を与えてしまったことをお詫びいたします(2013年2月28日、筆者・編集部)

 当初の予定通り、Windows Server 2012とWindows 8の開発が完了した。公式な約束としては「8月第1週」だが、ふたを空けてみれば8月1日だった。RC版の時も「6月1週」のアナウンスが実際は6月1日だったので、本当に順調な開発スケジュールである。これだけ順調に開発が進んだ製品はマイクロソフトとしては初めてではないだろうか。かつてのWindows 7も順調だったが、それでも予告されたリリース範囲の後半に出ていたように思う。今回は、本当に素晴らしい。

 あとはDVDの生産工程に入るだけなので、予定通りリリースされるだろう。よほど致命的なバグでも見つかれば別だが、ベータ版の品質を見る限り、まず大丈夫だろう。

ライセンス体系が変更に

 Windows 8同様のユーザーインターフェイスに大きく変わるWindows Server 2012だが、ライセンス体系も変更されている。従来のEnterpriseは廃止、Standardは機能制限を撤廃し、DatacenterとStandardが搭載する機能は同じとなった。そして、Standardもプロセッサライセンスとなった。

 Datacenterは以前からプロセッサライセンスだが、1プロセッサ単位から2プロセッサ単位となっている。これまでは1ライセンスの購入では1プロセッサでしか使えなかったが、Windows Server 2012では1ライセンスを買えば2プロセッサ、2ライセンスなら4プロセッサで使えるわけだ。

 また、Standardは、従来は1台だった仮想マシン使用権が2台に増えている。ただし、仮想マシンの使用権は他の物理サーバーに移転できない(図1)。また、物理サーバーの使用権を仮想マシンに移転することもできない(図2)。

図1:仮想マシンライセンスの利用例
図2:Windows Server 2012 StandardとDatacenterのライセンス例

米国版と日本版の価格差がかなりある

 ところで、Windows Server 2012の推定小売価格が発表になっている(表1)。Windows Server 2008 R2の価格と比較してみよう。Datacenterは、1プロセッサ単位から2プロセッサ単位になり、日本価格ではほぼ同じだが米国価格は大きく下がった。Standardはサーバーライセンスからプロセッサライセンスに変わったため、単純な比較はできないが、機能制限がなくなったので実質的には値下げと思ってよいだろう。たとえば、従来はフェールオーバークラスターを組むにはEnterpriseが必要だったが、Windows Server 2012ではStandardでかまわない。

Windows Server 2012のエディション

 4ソケットサーバーの場合は、Windows Server 2008 R2, Standardだと1ライセンスで済むのに対して、Windows Server 2012, Standardだと2ライセンス必要なのでかなり割高になる。しかし、こうしたケースは限られているだろうし、2ライセンスを買っても従来のEnterpriseより安い。

 このように、ほとんどのケースでWindows Server 2012のほうが割安になるはずだ。なお、ソフトウェアアシュアランスの契約をしており、Windows Server 2008 R2からのアップグレードの権利を持っている場合、2008のDatacenterライセンス2台分が、2012 Datacenterライセンス1台に減ってしまう。逆に2008のEnterpriseは、2012のStandard 2台分に変換できるということ。

 しかし、ちょっと気になるのが日本版と米国版の価格差である。いずれの価格も推定小売価格なので、これがそのまま市場価格になるわけではない。日本と米国では商習慣も違うので、推定小売価格と実勢価格の差も違っているかもしれない。それでも、Standardの価格が米国価格882ドルで日本価格16万9600円ということは、

1ドル=192円

という為替レートになってしまう(8月2日現在の本来の為替レートで計算すると、882ドルは7万円弱だ)。Windows Server 2008 R2が116円から154円(なぜかDatacenterだけレートが違う)なのに対し、差が大きすぎないだろうか。

  第2回で紹介した通り、現在のWindows Serverは英語版と日本語版の機能差はなく、UIも含めて多国語化ができる。音楽CDのような法律上認められた「還流防止措置(海外市場向けCDを日本に輸入することを禁止する規定)」もないので、並行輸入品が登場するのではないかと心配している。マイクロソフトの全社的な売り上げは変わらなくても、日本マイクロソフトの売り上げが減れば、世界のマイクロソフト内で日本の発言力が落ちるかもしれない。それは日本にとってもよくないことだと思うのである。

 実勢価格が、推定小売価格よりも安くなってくれることを願う。

筆者紹介:横山哲也(よこやま てつや)


グローバルナレッジネットワーク株式会社 マイクロソフト認定トレーナ/マイクロソフトMVP。1994年からSEおよびプログラマ向けにWindows Serverの教育を担当。1996年、グローバルナレッジネットワーク設立とともに同社に移籍。2003年より「マイクロソフトMVP(Directory Services)」、2012年より「マイクロソフトMVP(Virtual Machines)」


カテゴリートップへ

この連載の記事
ピックアップ