アップル版「おサイフケータイ」機能!?
クーポンやパス、カードの情報を集中管理できる「Passbook」
筆者個人としては、iOS 6の目玉機能は、実は「Passbook」ではないかと考えている。簡単にいえば、航空チケットや映画/興行チケット、ストアチェーンのロイヤリティーカードにクーポンまで、あらゆるパスやカード情報をひとつにまとめる仕組みだ。最近ではGoogleのほか、VISAやMasterCardなども同種のサービスに進出しており、まとめてこの手のサービスを「Wallet」と呼んでいる。すでにお気付きかもしれないが、日本でいう「おサイフケータイ」に該当するサービスだといえば分かりやすいだろうか?
ただし、「おサイフケータイ」がFeliCaという非接触通信技術とICカードの組み合わせなのに対し、アップルが提供するPassbookで管理されるのは「バーコード」といった単純な画像情報だ。カード情報がICチップ内で保護されることもなく、自分の財布をカードやクーポンで膨らませる代わりに、iPhoneなどのデバイスに電子情報として記録してしまおうというものだ。
仕組みそのものは単純で、バーコード情報や番号等の記されたカード情報を次々にストックし、必要に応じて取り出してスキャンしたり、あるいは不要になったら削除するだけのシンプルなものだ。また、あるカード(たとえばStarbucks Card)に該当する店舗が近くにあった場合、位置情報から判断して自動的にカードがNotificationsに出現し、ユーザーが画面ロックを解除すると当該のカードが開いた状態で表示されるといった機能がある。
また、Passbookはバックエンドで常にアップデートが行なわれている。たとえば航空チケットの場合、ゲート情報や離発着時刻が直前まで変更になるケースが多い。その際、ゲート変更の情報をリアルタイムで通知し、きちんとチケットの電子情報もアップデートされているなど、電子カードならではのメリットも享受できる。
小難しいことを考えるより、「まずは現実的な実装を」という、ある意味でアップルらしい仕組みだといえるだろう。同時に、将来的なNFC(Near Field Communications)の端末への搭載の布石という可能性ももちろん秘めている。なぜなら、アップルがこうした仕組みに興味がないわけではないことを、Passbookが示してくれているからだ。
iOS機器をキオスク端末のように設定できる
「Guieded Access」
地味ながら興味深い仕組みが「Guieded Access」だ。端的には、タッチ領域を限定して操作に制限を加えたり、ホームボタンの無効化でアプリ切り替えを防止したりと、ユーザーに制限を加える機能だ。これがなぜ興味深いかといえば、教育分野での利用や研修、キオスク的な端末への転用、美術館/博物館での案内表示など、操作を限定してiOSデバイスを利用したいケースは多々あるはずだと思われる。すでに業務向けに同種の制限をかけて運用されているケースはあるが、これをより広く利用するための仕組みだといえる。