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Antec「EA-450 PLATINUM」、「EA-550 PLATINUM」、「EA-650 PLATINUM」

AntecのPLATINUM電源は、回路やファンもプラチナ級!

2012年02月11日 11時00分更新

文● 加藤 勝明

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Antecこだわりの回路がぎっしり
内部構造を分解し、個々のパーツを分析!

 最高級の80PLUS PLATINUMを取得するには、構成部品の品質やロスの少ない回路設計が重要であり、これにはさまざまな技術力を要する。そのうえAntec製電源は各種保護回路を数多く搭載している。では、そのような電源ユニットの内部はどのようになっているのだろうか?
 そこで、EARTH WATTS PLATINUMシリーズの450Wモデル「EA-450-PLATINUM」をバラして内部の部品などをチェックしてみよう。なお、分解するとせっかくの3年保証が切れる上に、感電などの危険があるので絶対に真似しないでほしい。

内部の部品密度は定格出力が小さめのせいもあってそれほど高くない

 内部の基板はメインと、出力近くにあるサブ基板の2つに分かれている。メイン中央付近には2つのカスタムICがあるが、その刻印を見ると「FSP」の3文字が見える。つまりEARTH WATTS PLATINUMは台湾FSP社のOEM製品だ。基板のパーツレイアウトはオウルテックから販売されているFSP社製電源「AURUM Gold」と酷似していることからも、これを裏付けることができる。ただ、EARTH WATTS PLATINUMにはAURUMにはないサージ対策用パーツもあることから、単純に部材のグレードを上げてプラチナ化、という安易な製品ではないことはここで強調しておきたい。
 では、ここからは写真をメインに各部を見ていくことにしよう。

冷却用にはYate Loon社製のダブルボールベアリングタイプの「D12BH-12」が1基。回転数は2300rpm、風量89CFMの12cmファンだ。ノイズレベルはカタログスペックで最高41dBとなっている

まずAC100Vが最初に通過する入力フィルター部。水色がYキャパシター、黄色い直方体がXキャパシターと呼ばれるもので、ノイズの除去を行なうものだ

入力フィルター部の外には、AURUMにはない丸いパーツがある。これは酸化金属バリスタ(MOV)と呼ばれるもので、いわゆるサージ保護用の素子だ。刻印から判断するに560Vまでの電圧に耐えられるものが使われている。オリジナルの設計でもサージ対策は盛り込まれているらしいが、さらにAntecが安心感を向上させるためさらにサージ対策を追加したことになる

AC→DC変換は、プラスとマイナスに揺れる交流電流を一方向のみの波(脈流)に変換する整流器に通すことから始まる。EARTH WATTS PLATINUMではLITEON製の「GBU15L06」が搭載されていた。これ1つで15Aまでの電流を処理できる

上記の整流器は最高2個まで設置できるようパターンが用意されている。だが、整流器を2つ設置した大出力モデルが出るとは、放熱面から考えにくい

整流された電流はこの部分を右から左へと通過する。右側が有効電力の安定を得るためのアクティブPFC回路、中央のコンデンサーを経由して左側が1次側回路だ。このヒートシンクの裏側には2次側の回路が控えている

アクティブPFC用の素子はSTMicro社製「STTH8R06」や「STP22NM60N」などから構成されている。猛烈なスイッチングで脈流を細切れにし、効率よく電流が変換できるようにする

「FSP6600」と刻印されているこのチップは、アクティブPFCとPWMの制御を担っているようだ(カスタムチップゆえ詳細は不明)

1次側回路の入口に控えるコンデンサーは大容量・高耐圧のものが必要になる。EARTH WATTS PLATINUMではどのモデルでもCapXon社製の品が使われていた。容量は450/550Wモデルで270μFだが、650Wではさらに大きい390μF(耐圧はいずれも420V)となる。高温になるパーツが近くにあるため、上限温度105度のものを使う電源ユニットもあるが、EPAはプラチナ電源なせいか85度品が使われている

FSP製電源のキモといえるのがこの2つのFET。2つのチップが交互に動作し、1サイクルごとに2次側に出力される仕組みだ。左はInfineon社製「SPP11N80C3」、右がFairchild Semiconductor社製「FQPF3N80C」だ。前者は25度なら11Aの連続モード出力が可能だが、100度になると7.1Aまで落ちる。ヒートシンクを背負って常時冷やしているのはこのためだ

このブロックが2次側回路で、受け取った電流をPCに必要な12Vなどの出力に変換する部分だ。2つのトロイダル型チョークコイルが見えるが、大きい方が最も重要な12Vを担当する

このヒートシンクを背負っているチップが+12V出力を供給するためのMOSFET。かなりガッチリ固定されていたため外すのは断念したが、他のFSP製電源と同じならInternational Rectifier社製のチップが使われているはず

+3.3Vや+5Vといった+12Vよりも重要性の低い出力は基板裏のチップで作りだす。出力自体が少ないため、基板上に直接実装することで基板をヒートシンクがわりに使っている。Infineon社製「06N03L」が4つ使われていた

2次側のコンデンサーは高い耐久性と超低ESRが求められるだけあって、日本ケミコン製のKZEやルビコン製も使われている。上限温度も1次側よりも高い105度品で統一されている

2次側のPWMコントローラー「FSP6601」。こちらもFSP社製のカスタムチップだ

電源の状態を監視する機能はサブ基板上のWeltrend社製「WT7527」が担当する。過電流保護(OCP)や過電圧保護(OCP)、不足電圧保護(UVP)などの機能を有する。12Vが4系統になっている550/650Wモデルの場合は、12V監視用チャンネル数の多い上位版「WT7579」を搭載している

※お詫びと訂正:記事初出時、コンデンサーの解説に一部誤りがありました。記事を訂正してお詫びいたします。(2012年2月13日)

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