漫画家デビューはフランスだった
―― でもフリーランスとして日本のメジャー誌で仕事というと、「エッジな世界観を活かして」よりも、「読者にウケそうな作品を描いて」と言われてしまうことも多い気がします。そうなると、ハトゲーみたいに好きなものを好きに作り続けるのはキツくないですか。
玻都 実はわたし、フランスでデビューしてまして……。
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Vairocana, Tome 3 |
―― フランスで!?
玻都 少年漫画の連載をしていまして。単行本も3巻まで出ています。自分で描いた本なのに、フランス版のアマゾンでないと買えないんです。
―― 描いていたのはオリジナルですか?
玻都 はい。すごく自由度が高かったです。唯一言われたのは「せっかく日本人が参加するんだから、なんとなく日本っぽいもの、サムライっぽいものを」と。
―― めちゃくちゃ自由ですね。なんでフランスで描くことになったんですか。
玻都 deviantART※っていうpixivのアメリカ版みたいなサービスがあるんです。それを大学生のころからやっていて。その中にフランスで漫画を描かれている方がいて、声をかけてくれたんです。
※ 米deviantART社が運営する、アーティスト向けのSNS。2000年開設で、メンバー数は1450万人以上。投稿作品はイラストや絵画だけではなく、写真やクラフトなど多岐に渡る
―― もとから国際的に活動しようと?
玻都 いや、略歴に「フランスでデビュー」って書けたらカッコイイというのが理由で……。
―― カッコイイって。ではフランスでの活動もメインに?
玻都 いまはフランスじゃなくてほぼアメリカですね。
―― アメリカ!
玻都 ただ、円高でドルがどんどん下がっているので、つらくて……。なので、そろそろ日本国内でも仕事を増やさないといけないなという感じになってます……。
―― 今までの漫画家とは全然違う、デビューの道を歩んでる感じですね。
玻都 いや、さすがにこれはあまりにも裏口っぽいというか、邪道だと思います。つねに道を踏み外してるというか。だから経歴を話すと不審になるんです。
―― それにしても大学生のころから英語圏のSNSで活動ってすごいですよ。
玻都 ネットを使えるのに外を見ないなんてもったいないと思って……。
―― 当時、ほかにはどんなサイトを?
玻都 ピジョンブログを。
―― やっぱりハトですか。
玻都 ハト以外にも、英語が読めないとアクセスできないものって、たくさんあると思うんですよ。小説とか映画とか、アメリカから入ってくるもの、俳優情報なんかも知ろうと思ったら、日本だけじゃ分からないわけですから。そこはオタク精神だと思うんです。オタクって、好きなものに対してはいろんな対価を払いますよね。それと同じだと思うんです。