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ゲームにアニメにPCに! FORIS FS2332の超解像がスゲェ!

2011年11月21日 12時00分更新

文● 藤山 哲人

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 ナナオのディスプレーと言えば、カラーの再現性が高くプロフェッショナル仕様の高級品のイメージがある。いわばディスプレーのLouis Vuitton(ルイヴィトン)的な存在だ。それゆえ値段もヴィトン価格で、ナナオを好んで使うデザイナーが自腹では買えないので、会社を何とか説得してゲットし、EIZOエンブレムの付いたディスプレーを誇らしげに使うというものだった。

ナナオのディスプレーに付けられているEIZOエンブレム。このエンブレムは「LV」と同じで、品質のよい逸品を使っているというステイタスなのだ

 ところが最近のナナオは、どうみてもわれわれに勝負を打って出たとしか思えない製品を市場に投げ込んでいる。それがFORIS FS2332だ。俺たちにも余裕で手が届く価格帯までディスカウントしつつも、これまで同様にプロフェッショナル仕様のディスプレーで、カラーの再現性は抜群。あまつさえSmart Resolutionなるインテリジェントな超解像機能を搭載しているのだ。

ナナオのFORIS FS2332。23インチIPSパネルとLEDバックライトを搭載し、フルハイビジョン(1920×1080)映像を魅せる

 なのに価格は、韓国製などとたいして変わらない3万9800円! マジっすか!? 結論から言えば、こんな記事書いてる場合じゃなくて、速攻でアキバに「FORIS FS2332」を買いに行きたいのだが、一応ライターとしての任務をまっとうしてから、指名買いに行くことにしよう。

マジで目が疲れないし、黒がクッキリ! 色ムラなし!

 ここ数年液晶ディスプレーの市場価格はどんどん下がっている。ナナオもそれに追随し、企業努力で価格を下げた製品を市場に投入している。とはいえ、いくらナナオでも3万9800円のLEDバックライト液晶の性能なんてたかが知れてるハズ。読者のみなさんも同じ思いだろう。ということで、早速仕事に使ってるマシンにつないで様子を見てみることにした。
 パソコンの電源を入れ、見慣れたブート画面からWindows7のログオン画面に切り替わった瞬間、声を出さずにいられない。

 ナニこれっ! めちゃくちゃ黒が黒に見えるじゃん!

一般的な液晶パネルのWindows7のログオン画面

FS2332のログオン画面。違いは一目瞭然、黒が真っ黒でしょ?

 そう、液晶ディスプレーは常にバックライトを点灯しているので、たいていのディスプレーは黒は漆黒じゃなく、濃いグレーに見えてしまう。しかーし! FS2332は墨汁で塗りつぶしたかの様な漆黒の黒なのだ。さらに一般にノングレア処理(※)されているパネルは映り込みが少なく長時間見ていても疲れにくい反面、全体に白っぽく見えてしまうというデメリットがある。
 しかしFS2332はノングレア処理されているにもかかわらず、携帯電話やスマホのような光沢画面のごとくコントラストの高い鮮明な映像を魅せるのだ。

※ノングレア処理

 液晶パネルの表面に極小さな凸凹を付け、部屋の灯りや外の景色などがパネルに写り込まないようにする処理。長時間見ていても疲れないというメリットがある反面、光が乱反射するので画面全体が白っぽく見えてしまうというデメリットがある。携帯電話やスマホ、大型液晶テレビの一部などでは、画像をより鮮やかに見せるためにノングレア処理をしていないピカピカのパネルになっているものがある。

FS2332のノングレア処理されたパネルの映像。光沢パネルと変わらないクリアな映像なのに、映り込みがない

光沢画面の液晶パネルの映像。明るいオフィスなんかで使うと、周りの景色や後ろのヒトの様子が映っちゃって見づらい

 さらにWindowsにログインしてビックリ! ASCII.jpのライターである以前に読者でもある筆者は、デフォルトで萌え萌えな女の子の壁紙が貼ってある。その俺様に微笑みかけている壁紙の2次元少女が、超キレイじゃないのっ! これは思い込みじゃない。なんたってビデオカードを2枚差しにして、普段使っている液晶パネル2枚とFS2332を見比べてるんだもん。違いを詳しく見てみると、こんな感じだ。

  • コントラストがクッキリ
  • バックライトの色ムラがまったくない
  • イラストの鉛筆のタッチが分かるほど輪郭がクッキリ
  • 肌色が超キレイ(コレ大事!)
  • ギラギラしない

 「ギラギラ」しないというのは、伝わりにくいかと思うので少し補足しよう。通常の液晶パネルだとパステル系の色を表示するとバックライトの光がかなり目に飛び込んできて、昔のCRT並みにまぶしいのだが、FS2332は眩しさを感じないのだ。例えて言うなら、液晶パネルの裏側に印刷物がピッタリ貼り付いている感じ。これはスゲー見やすいし、目が疲れないぞ。

FS2332でやさしく微笑む女の子のイラストを壁紙にしたところ

一般的な液晶ディスプレーで見た同じイラスト

 液晶パネルはフルハイビジョンIPSパネルを使っているので、視野角が広く上下左右どの方向から見ても色が変化しない。ディスプレイを複数つなげている場合には、これ超重要項目ね。

上下左右どこから見てもクッキリ。こんな角度から覗いても、もちろん色が変わることもない

 さらにビックリさせられたのは、部屋の明るさに応じて輝度を自動的に調整してくれることだ。一日中パソコンに向かって物を書いている筆者は、遮光カーテンを閉めて作業しているが、工作をするときは手元を明るくしたいのでカーテンを開ける。すると、輝度を暗くしているので、ディスプレーに表示してある設計図が読みにくくなってしまうのだ。
 でもFS2332は、部屋が明るくなったことを検知して、輝度を自動的に上げてくれるので、いつでもはっきりした画面で作業できるのだ。これはかなり便利。

部屋を暗くする変わりに、センサー部分にライトを当てたり、暗くしてみると、自動的に輝度を調整するのが分かる

 さらに「さすが!ナナオだぜ!」とTwitterでツイートしてしまった点がある。それはHDMIの入力切り替えの速さだ。筆者の使っている某社のディスプレーは、入力をHDMIに切り替えると、最速で5秒、なかなか同期信号が取れないときは20秒ぐらいモタモタとやっている。しかしFS2332のHDMI切り替えのレスポンスはキッチリ3秒で素早く切り替わるのだ。複数のパソコンやゲームなどで使う液晶としては、思考の中断時間を短縮できるので、かなり便利に使えるだろう。
 さて入力信号の話になったついでに、映像入力コネクター類の説明もしておこう。

映像信号コネクター 入力数
アナログRGB 1系統
DVI-D 1系統
HDMI 2系統(HDMIオーディオ対応)

 合計4系統をつなげて、切り替え表示が可能だ。HDMI端子は2系統ともPC信号をサポートしている。HDMIは基本的にPCの入出力にも対応しているが、中にはPC入力を正式にサポートしていないクセモノも存在する。このFS2332は正式にPC信号をサポートしているので、安心してPCとの接続に利用できるというわけだ。
 また、読者の中には「DVI1系統かよ?」と贅沢なことを言うヒトがいるかも知れないが、これはDVI-D→HDMI変換コネクターを噛ませるだけで、DVI-Dを3系統としても使える。なおDVI-D端子はデジタル入力端子なので、アナログRGBをDVIに変換するコネクターを噛ましても入力できない点に注意してほしい。

映像入力端子は本体背面、右側にまとめられている。左からHDMI1、HDMI2、DVI-D、アナログRGB。写真には写っていないが、電源コネクターと一次電源スイッチが本体左側にある

 本体のスイッチは、すべてメカニカルスイッチという点も好印象だ。フェザータッチ式はいちいち目でボタンの位置を確認しなけりゃならず使いにくいのだが、メカニカルスイッチなので手で探ってボタンの位置を把握できるし、クリック感があるのでディスプレーに指示が伝わったのかどうかが一目瞭然ならぬ、一触瞭然。
 さらに複数台のディスプレーを使っているヒトは、小型の赤外線リモコンも重宝する。手の届かないディスプレーの映像入力を切り換えたり、小さいながらも本体に内蔵されているスピーカーのボリュームを変えたりと便利だ。

パネル正面にあるスイッチはすべてメカニカルスイッチなので、目で見て位置を確認しなくてもいいので使いやすい

標準添付されているリモコン。手の届かないところに置いていたので、これが凄く便利だった

 これだけ見やすく色の再現性も高く、漆黒の黒と眩しくない白を表示でき、あまつさえ細部にこだわった作りのディスプレーは、もうプロフェッショナル仕様と大差なし! それが3万9800円で買えちゃうんだから「お買い得」としか言いようのないディスプレー。それがのFORIS FS2332だ。
 ナナオさん! 使う前に疑ってゴメンなさい! 考えてみりゃ当然。色の再現性を売りにしているEIZOブランドエンブレムがFS2332にも輝いているんだから、いくらお手軽なモデルとは言え、性能を犠牲にするわけないのだ。

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