Android端末のベンダーも
Android以外の道を模索し始める?
そのAndroidも状況は変化している。具体的にはGoogleによるMotorola Mobilityの買収計画、Appleなどとの特許訴訟といった話題だ。その結果、ベンダーの忠誠心にも変化が生じているようだ。Samsungについては前回取り上げたが、HTCのトップがwebOSの買収案を認める発言をしたことで、HTCについても憶測が出始めた。
この発言は、HTC会長のCher Wang氏が中国の経済誌「The Economic Observer」のインタビューで述べたものだ。記事が公開されたのは9月5日。IntelとGoogleとの発表の前だが、GoogleによるMotorola買収計画は発表されたあとであり、インタビューでは「特許訴訟という点でGoogleにプラスになる」という見解を示している。言うまでもなく、SamsungとHTCはAndroidのシェアに貢献している2社だ。この2社の動きはAndroid事業に大きく響くだろう。
Androidの戦略に関する内部メモが流出
PCとモバイル端末の境界線はさらに曖昧に?
そのGoogleからは、Android事業の戦略についての内部書類が明らかになった。GoogleがOracleと係争中の特許訴訟(AndroidがOracleが所有するJavaの特許を侵害しているというもの)で提出した書類で、最初に指摘したのはFOSS PatentsブログでおなじみのFlorian Mueller氏だ。これは、「(Androidを)ただで提供するのなら、どうやって確実にメリットを得るのか?」をテーマに、Googleが戦略を記した内部メモである。
Mueller氏はここで、「オープンに開発するのではなく、コードはイノベーションが完了した後に公開する」「リードデバイスコンセプト:端末を開発/ディストリビューションするパートナー(たとえば、MotorolaとVerizon)が、仕様に早期にアクセスできるようにする」の2点を、注目に値すると指摘している。後者については、Googleがベンダー1社を選んで「Nexus」ブランドでフラッグシップ端末を作るプログラムとは別のものとMueller氏は見ており、端末開発において一部ベンダーを優先させるものと見ている。だが、Googleの広報担当はこれはNexusのことだとBBCに説明している。
それにしても、IntelとGoogleの発表と同じ時期に、Microsoftが「BUILD」カンファレンスで、1月に発表したARMとの提携を基に次期OS「Windows 8」のタブレット戦略を具体化したことは、PC側の歴史から見ても興味深い気がする。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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