Palette UI開発までの道のり
「橋渡し」するホームアプリを!
──Palette UIの開発のキッカケとは、どういったものだったのでしょうか?
松本 昨今のスマートフォンは、グローバルモデルをベースに開発され、日本向けに調整されています。従来のフィーチャーフォンのように、弊社と端末メーカーが製品の企画段階から話し合ってデザインや機能を決めるというのではなく、グローバルモデルの端末をどれだけカスタマイズして、日本仕様にするかという時代になっています。そのため、どちらかというとハードウェアの差別化というよりは、ソフトウェアの差別化になっています。そこで弊社としては、どんなオリジナルのソフトウェアが用意できるのかを考え、そして、まずはホームアプリを提供しようということになったのです。
──なぜホームアプリだったんでしょう?
松本 お客様との接点となる重要なポイントがスマートフォンのホーム画面であり、弊社独自のエクスペリエンスをユーザーに提供できるのではないかと考えたためです。スマートフォンを利用するユーザーはどんどん拡大しています。しかしその一方で、フィーチャーフォンをお使いのユーザーも多く、弊社のお客さまだと約5000万人はおられます。それらのお客様が、スマートフォンへと移行しようとするときに、あまりに使い勝手が違ってわからない、ということがないように、その橋渡しになるような中間的なUIを提供できないか、ということも考えてデザインや使い勝手を考えました。
──中間的というのは、どういうことでしょうか?
松本 フィーチャーフォンの使い勝手で評価が高いのは、搭載されている機能がグループ分け、カテゴリ分けされていて直感的な操作が可能なところです。「12アイコンメニュー」はその象徴でしょう。機能がグループに分かれていて、短いステップで目的の機能や操作にたどり着けます。一方、スマートフォンはアプリのアイコンがフラットに並んでおり、それらの意味を知っているユーザーにとっては、こちらも直感的でわかりやすいと言えます。しかし不慣れなユーザーを「誘導する」という意味では少し敷居の高いインターフェースではないでしょうか。そんな違いのある、スマートフォンとフィーチャーフォンのUIをうまく融合した形で橋渡しになるモノが作れないかと、先ほど紹介したような機能を考えて搭載しました。
──開発はいつから始められたのでしょう?
松本 実は「Optimus chat L-04C」(2011年2月発売)にも「ドコモメニュー」というものを提供しているんですよ。それほど大きな話題にはならなかったんですが(苦笑)、それが下敷きとなっています。「ドコモメニュー」は、フィーチャーフォンの12アイコンメニューを模したようなデザインになっています。また、Palette UIと同様に、アプリのグループ分けという機能を盛り込んでいます。
──「ドコモメニュー」がプロトタイプにあたるということですか?
松本 直接的なプロトタイプというわけではありませんが、これをさらに機能的に昇華させたものが今回の「Palette UI」と捉えていただければと思います。
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