Microsoftが混沌のスマートフォン市場に投入した新スマホOS「Windows Phone」。Windows Mobile時代から、長くスマートフォンを投入し続けてきた同社が送り出した新OSには、期待の声が高い。
コンシューマーユースはもちろんだが、ビジネスシーンでの使い勝手に長けているというWindows Phoneについて、また今後の製品展開について、日本マイクロソフト コミュニケーションズパートナー統括本部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 中島憲彦氏にお話をうかがった。
クラウド連携を強める Windows Phone
──Windows Phoneはクラウド連携が強化されているということですが?
中島憲彦氏(以下敬称略) (iOS、Androidに続く)第3のスマートフォンOSとして、差別化を図るため、「クラウド端末」であることを端末コンセプトの1つに据えています。
──「クラウド端末」とは具体的にどういうことでしょう?
中島 Windows Phone端末上で扱うあらゆるデータをクラウド経由で利用すると捉えていただければと思います。たとえば、電話やメール、チャットなどなどの各種コミュニケーションの中心となる「Peopleハブ」があります。これは、アドレス帳と同等の役割ではあるのですが、そこに登録されたユーザーのデータは、Windows Live、Facebook、Twitter、LinkedInといった各サービスのクラウド上に登録されているユーザー情報を統合しています。
中島 また、ビジネスユーザーにとって馴染みのある、Officeアプリ「Word」「Excel」「PowerPoint」のモバイル版である「Office Mobile」が標準機能としてプレインストールされています。これらに関しても、各文書はクラウド上に保存しておき、それを開いたり編集したりといった操作をWindows Phone端末から行なえます。クラウド上でほかのユーザーと共同編集することも可能です。
──クラウドサービスといってもいくつかありますが?
中島 Windows PhoneはHotmailやSkyDriveといった当社のサービスはもちろん、Gmailなどいくつかのクラウドサービスに対応していますが、ビジネスで利用する場合、ぜひお勧めしたいクラウドサービスは「Office 365」です。Officeを月額課金で利用できるほか、オンラインサービスの「Exchange Online」、グループウェア「SharePoint Online」、そしてコミュニケーションプラットフォーム「Lync Online」などを統合して利用することができます。ユーザー規模にもよりますが、1ユーザーあたり月額600円からの利用が可能です。Office 365はクラウドサービスですが、導入企業のポリシーに適合するためにExchangeサーバーなど社内設置型のシステムも利用可能で、ユーザーの利用環境に柔軟に対応します。
中島 Windows Phoneに搭載されている「Outlook Mobile」は、メールとカレンダー、連絡先といったPDAとして必要な機能を統合したツールです。こちらもHotmail、GmailといったWebメールに対応するほか、Exchangeサーバーに対応しているので企業メールの送受信もできます。
中島 Webブラウザーに関しても、PC版のInternet Explorer 9と同じ技術をベースとしたブラウザーを採用しています。HTMLレンダリングなどはPC版と同じエンジンを採用し、HTML5にも対応しているほか、タッチ型のデバイス独自のピンチ操作などに対応させています。なお、企業ユーザーではまだIE6などの古いブラウザーを使用せざるを得ない状況はあると思いますが、徐々にIE9にシフトしつつあると把握しています。そのため、Windows PhoneでもIE9ベースのブラウザーを標準搭載しており、最新の技術を利用していただきたいと思っています。
この連載の記事
-
第5回
スマホ
アラフォー男子開発陣がホンキで取り組んだ女性向けスマホ -
第4回
スマホ
数多くの苦悩から誕生したAndroidホーム「Palette UI」 -
第3回
スマホ
「docomo Palette UI」は混沌のAndroid UIを制するのか!? -
第2回
スマホ
全部入りスマホのMEDIASはユーザーの裾野を広げられるか? - この連載の一覧へ