精細感だけでなく、きめ細やかなスムーズさも魅力
ヤマハ「RX-V2067」
ヤマハのRX-V2067は、今回唯一10万円を超えるミドルハイクラスのモデルとなる。音質はもちろんのこと、画質面でも有利となるが、AVアンプにおける画質の違いも価格差に比例するのかどうかは気になるところ。
実際に使ってみると、画質調整機能がいさぎよく省略されていることがわかった。アップコンバートやスケーリング、I/P変換などはきちんと行なわれているが、細かい調整はできない。逆にオーディオ調整では、独自の「シネマDSP」による多彩なサラウンドモードの選択をはじめ、機能的にはかなり充実しているのが好印象だ。
これはメーカーの考え方によるもので、画質調整はテレビ側で一元管理した方が良いという姿勢だろう。実際のところ、アンプで画質をいじり、テレビでもさらにいじり、とやってしまうと、どちらの画質調整による効果なのかわからなくなってしまうこともある。
操作感については、オンスクリーン表示のGUI操作となっており、表示が大きく見やすいため操作はわかりやすい。ただし、画質調整関連が省略されていることもあり、表示が全体に大きく、映像ソフトを見ていると映像の大部分がメニューで隠れてしまうことも少なくなかった。
画質については、音質ほどではないものの、やはり製品の価格差が反映されることがわかった。基本的にはかなり正確な再現で、元々の映像にあるジャギー感などはそのまま再現する方向だが、そのギザギザがより細かくなるなど、細部の表現がより緻密になった印象だ。
そのためか、ディテール感の再現性もより鮮明になっていると感じる。色再現については少々赤みが強いように感じたが、原色の赤がぼってりと階調を失ってしまうようなことはなく、濃厚な表現ながらも階調感も不満のないレベルで再現していた。
PSPでのビデオ映像は動きの早い映像だけに、さすがに圧縮によるMPEGノイズを除去しきれない。しかし、水流の細やかさや動きは比較的スムーズに再現されていた。
PSPのゲーム画面はもっとも好ましい印象で、粗いポリゴンのギザギザがより細かくなり、見づらさも少ないし、大画面で表示しても十分に見応えのある映像になった。
ただし、ズーム機能がないのはほかの機種と同様。色乗りがやや濃厚なこともあり、コントラスト感の高いメリハリの効いた映像となるのもゲーム画面と相性がいいと感じた。
遅延についても問題なし。このあたりは、今回紹介した各機種とも最新鋭のLSIを採用しているだけに、大きな差がなかった。映像と音のズレが生じないことも、言うまでもない。
価格に見合った音の表現力
最後に音質だが、ほかの2モデルが元の情報をきちんと取り出し、それぞれの個性を持って再現していたのに対し、本機の場合は元の情報を正確に再現するだけでなく、ギターの音色やボーカルの質感といった微妙な再現までしっかりと描き出した。このあたりの表現力はほかにはないもので、価格的にも1クラス上となるAVアンプの実力がしっかりと出た。
今回のようなゲームやDVDの画質向上を目的としたグレードアップでは、本機はいささか予算オーバーとも思えるが、やはり製品のグレードの差はきちんと映像にも音にも現れることがわかった。
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