忠実度ではもっとも優秀
正確な表現を行なうパイオニア「VSA-921」
パイオニアのVSA-921は、接続するディスプレーの種類に合わせたプリセット画質モードを搭載。さらに自動音場補正で割り出したユーザーの位置(視聴距離)に合わせ、画質を自動で調整する機能を備えるなど、機能的にはなかなか利便性が高い。
このほかに画質調整やノイズリダクションを個別にオン/オフできるなど、細かい調整も自由に行なえる。画質調整時の表示や入力信号の種別表示などは、すべて本体前面のディスプレー(1行表示)で確認しなければならないため、慣れるまでは少々戸惑うが、表示そのものは読みやすいので使いにくさはあまり感じない。
自動画質調整があるので、じっくりと使い込みたい人以外は、特に細かく調整をする必要もないだろう。
SDソースの映像では解像感の高さに感心した。これならばハイビジョン映像との落差はあまり感じず、DVDソフトなどはなかなかの精細感で楽しめるだろう。
気になったのは、輪郭にジャギー感が少々目立つ点で、ピシっと正確に元の映像を再現している方向ではあるが、少し見づらく感じることもあった。ノイズリダクションなどを使用したり、シャープネスを調整する方が見やすくなるだろう。
色再現の正確さもすばらしく、余計な色づけを行なわず忠実度の高い映像だった。階調表現などもきめ細やかだ。
PSPのビデオ映像では、MPEGノイズの抑制を優先するためか全体に映像がソフトになり、より見やすい映像になった。その分、持ち味である精細感がやや犠牲になっている。
PSPのゲーム画面はズーム機能がないため、上下左右に黒枠の付いた表示となるのは共通。こちらも元の映像に対する忠実度が高く、PSPのポリゴン数の少ない3Dオブジェクトなどは斜め線のギザギザがはっきりと再現されてしまう。これはこれで、ゲーム映像としては正確な表現と言えるが、好みは分かれそう。
シューティングゲームなど、当たり判定をはっきりと見たい人には好印象となるが、ムービーシーンの多いRPGなどのゲームを映画的な映像で楽しみたい人には、少々粗いと感じるかもしれない。
遅延についてはまったく問題なし。今回リズムゲームでテンポの遅い部分では映像に合わせてボタン操作を行なったり、テンポの速い部分では映像をアテにせず、聴こえてくる音のリズムに合わせて操作したりと、いろいろ試したが、そのいずれの方法でもほぼ適正なタイミングの入力となった。つまり、表示遅延も問題のないレベルだし、映像と音のズレも生じていないということだ。
低音感の力強さが秀逸
リズムゲームなどで迫力満点
なお、今回の趣旨からは外れるが、本機の最大の美点は音質と言えるだろう。低音感の力強さが秀逸で、映画向きに多少は量感も多めなのだが、決してベースラインが曖昧になってしまうことなく、リズムの動きをしっかりと聴き分けられる。
高域の再現もクリアで、細かい音はきちんと再現できるし、それでいてシャリシャリと高域過多に感じるような印象もない。トータルでの音のバランスがよく、映画は迫力たっぷりに、音楽はクリアで力強く楽しめるなど、さまざまなソースをきちんと再生する表現力も備えている。
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