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AfterEffects CS5.5がこれだけ快適に動く

映像制作会社が検証した、ThinkStation C20の実力

2011年07月21日 09時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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HDDなどシステムとしての性能を見る

 4番目の連番ファイルを使用した色補正検証は、DPX形式と呼ばれる連番ファイルを用意し、動画の各フレームを構成する静止画1枚1枚にレベル補正、トーンカーブ補正、描画モード変更などの補正処理を加えて、雰囲気のある映像を作り出す時間を計測するテスト。

左上が元動画。これに各種フィルター処理や補正をかけて、フィルムのような雰囲気のある映像とする

 Red Oneと呼ばれる4Kカメラを使用しており、元画像のサイズは4096×2304ドット。色深度は各色16bit。1枚当たりの画像サイズは36MBで、21秒強の素材となる。処理としては、レベル補正とトーンカーブで色合いを調整した後、絞り羽根風のボケを再現するために、楕円形のマスクを作成、全体にフィルム風の雰囲気が出るノイズグレインをかけるとともに、ブラ―処理を施して中央部から周辺部にかけて徐々にピントが甘くなっている効果を加える。これをDドライブとして用意したeSATAのHDDに出力し終わるまでの時間を計測する形。

 レンダリング時間はE20の1時間18分に対して、C20は21分35秒(Quadro5000搭載時)と1/3.7程度の時間で作業を終えた。CPUパワーとHDDの転送速度のパフォーマンスなどが影響した差になっているという。


今後増えると予想される3D処理

 最後がOpen GLカードが処理性能にどの程度の影響を与えるかを見るもので、3D空間処理などには大きな影響が出る。例えば動画が再生された枠が、画面奥から手前に角度を変えながら迫ってくるといった表現方法などが相当する。

3D空間処理で2つの動画領域が、画面内を自由に移動する映像を作る

 ここでは人物を撮影した2種類のフルHD映像を用意。照明効果やカメラ角度を計算させながら、背景に映像を合成する。Adobe AfterEffectsの3Dレイヤーを利用して、約7秒ほどのアニメーションを作成する。レンダリング時間はE20の44秒に対して、C20は1/1.6~1/1.4程度の時間で処理を終えられた。なおQuadro2000では31秒程度、Quadro5000では27秒程度となっており、ビデオカードの性能差も影響する。

 なお、QuadroシリーズはCADや3Dグラフィックス制作を想定したビデオカードだが、ハイエンドPCで一般的なGeForce系のグラフィックスカード(GeForce 250GT)とCore i7を組み合わせたマシンとの比較では約2.5倍程度高速な結果が得られたという。

 Open GLが活躍するのは3D系処理を加えた場合であり、AfterEffectsを利用した動画編集の用途では利用する機会がそれほど多くはないが、Adobe Premiere ProのMercury プレイバックエンジンでは、CUDAが積極的に活用されている。

 また、3ds Maxなどで制作したCGを連番ファイルとして取り込み、合成した動画を出力するといった用途でも「効果的なのではないか」とテストを担当した動画制作会社のスタッフは話す。

マシンパワー、コスト、そして作品の品質

 こういった性能差がハッキリと分かる処理以外にも、マウス操作への追従性がよくストレスを感じないと言った目に見えにくい部分での改善も得られるという。重いエフェクトをかけながら、別アプリケーションのプルダウンメニューなどをちょっといじるといった使い方はよくあること。その際にちょっとしたツカエがあればそれはそれでストレスだ。快適な作業という点では、こういった些細な部分も重要になる。

 またエフェクト処理が高速になれば、決め打ちでやっていたパラメーターを微調整して、複数パターンを試し、いいものを採用するといった余裕も出てくる。動画の制作環境は時間との戦いなので、クリエーターは納期に合わせて、この時間でどこまでやるかをシビアに検討している。

 「この尺のプレビューが、何分で出たから、最終的な出力のためにこれだけの時間を割けばいい。だから何回試せる。常にそんなことを考えながら作業している」と取材に対応してくれたあるクリエータは話した。

 高性能なワークステーションは、時間というもっとも貴重なリソースを有効活用するための大きな武器となる。これはコストはもちろんだが、作品の質を高めるという意味でも重要に機能するのだ。

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