iPhoneがユーザーの位置情報を追跡していることが、研究者により明らかになり、各メディアに大きく報道されている(関連記事)。その後AndroidやWindows Phoneでも同様のことが行なわれていることがわかった。Appleはサービス改善を目的としたもので、収集しているのは無線LANのアクセスポイントや基地局の情報だと説明しているが、ユーザーのおおよその位置情報がわかることに変わりはない。プライバシーの観点から見た懸念は払拭されておらず、アメリカや欧州では政府が調査に乗り出す可能性もありそうだ。
イギリスの研究者によって発表され
メディアに大きく報道されたiPhoneの位置情報データ
4月20日、2人の研究者がiPhoneがユーザーの位置情報を記録しているとO'Railly Radarで発表した。緯度/経度/タイムスタンプなどのデータが「consolidated.db」というファイルに蓄積されているという。データは暗号化されていない状態で、バックアップ先のWindows/Macマシンにも転送されるという。これはiOS 4で導入された機能と推測されている。
この2人の研究者とはエクスター大学のAlasdair Allan、元AppleのPete Wardenの両氏だ。2人は位置情報データの視覚化に関する研究を共同で進めており、彼らの取り組みの中には、東日本大震災後の放射能値の視覚化も含まれるという。実際に「iPhone Tracker」というMac OS X用のソフトウェアを公開しており、これを利用するとconsolidated.dbのデータを地図上に視覚的に表示できる。
この発表は世界のメディアに大きく報じられた。その後すぐに、スウェーデンの研究者がAndroidでも同じようにデータを収集していると発表、MicrosoftもWindows Phoneの位置情報収集に関する情報をウェブ上に掲載した。
これに対して、Appleが公式に回答したのは1週間後の4月27日のことだ。Appleはここで10の質問に答えるQ&A形式で説明している(http://www.apple.com/jp/news/2011/apr/28location_qa.html)。
Appleはまず、iPhoneの位置情報ではなく、無線LANアクセスポイントと基地局の位置情報を収集し、位置情報データベースを作成していると強調する。これらの情報は実際のiPhoneの位置から100マイル以上離れていることもある(だからユーザーの位置情報とは言えない)と続ける。目的については位置情報が必要なときにこれらのデータを利用すれば高速に計算できること、GPSが利用できない屋内などではこれらのデータで位置情報を計算できる、としている。
そして、データが定期的に削除されることなく、蓄積されている点(iOS 4の2010年6月リリース以来、11ヵ月分のデータが収集されている場合もある)については“未解決のバグ”、位置情報サービスを無効にしても記録していた場合があることについても“バグ”とし、数週間以内にこれらの“バグ”を修正したアップデートをリリースするとした。また、次期メジャーリリースでは端末側の履歴を暗号化するように変更するという。
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