タイプ感以上に良好だと感じたのは、タッチパッドの操作感である。現在のThinkPadは、そのアイデンティティであるトラックポイントとタッチパッドの両方を搭載しているが、特にタッチパッドの工夫がいい。
X220のタッチパッドは、タッチ面そのものを押し込むことでボタンにもなる構造が採用されている。この種のものはデザインはよくても、とかくボタンの「押した感」が悪くて、操作性はマイナスになりがちだ。だがX220のそれは、左右のボタン共に「適当にその辺を押せばクリックしたことになる」といっていいほど、いい具合に調整されている。表面の細かなテクスチャーも、指に適度な摩擦感を感じさせるのに一役買っている。
ThinkPadでは「トラックポイントをメインに使いつつ、タッチパッドをスクロールにだけ使う」といった使い方もできるが、さらに「クリックにもタッチパッドを使う」という使い方を指向して、作り込まれている印象だ。さすがにトラックポイントのボタンを削除するまでには至っていない(操作性の継承を狙ったものだろう)が、将来的にそうなったとしても、意外に困らないのではないか、と思うほどよくできている。
使いやすいラッチレス構造
拡張端子の配置には疑問も
キーボードの変更とともに目につくのが「ディスプレー周り」の変更だ。X220では、ThinkPadで長年使われてきた大きめの「ラッチ」がなくなった。いわゆる「ラッチレス構造」となったわけだが、だからといってディスプレーが不必要に開くこともなく、開け閉めもかなりスムーズだ。
本体前面の右側に、指をかけてディスプレーを開けるための「切り欠き」が用意されていて、そこから開けるのが本来のやり方なのだろう。もちろん、両手を使うならどこを使っても開けられるが、片手しか使えない場合でも、この切り欠きを使うと、意外とスムーズに開け閉めができる。
ディスプレーは12.5型ワイドサイズで、縦横比16:9のものになった。解像度は1366×768ドットと、16:9パネルでは一般的なものになっている。ビジネス系の製品だから、パネルの表面加工はもちろんノングレア。画質は全域にわたって良好だ。視野角の良さも申し分ない。
他方で、X201sには12.1型/1440×900ドットの高解像度パネルがあったことを思うと、「後退」ではある。もしかするとX220「s」的な製品が出てくれば、より広い解像度のパネルも選べるようになるのかもしれない。また、同じような重さ(約1.46kg)の競合機種に比べて、ディスプレーサイズが一回り小さいのも気になる。
ボディーデザインの面で気になるのは、端子類の配置である。X220では内部のマザーボード配置に関わる制約からか、拡張用の端子類がことごとく本体左右の「手前」に寄っている。背面にはACアダプターのコネクターしかない。特に気になったのは、Ethernetコネクターが右手前にあることだ。ここにLANケーブルを差し込んで使うと、ちょっと使いにくそうだ。
しかしこの制約は、同社にとっては織り込み済みのことかもしれない。なぜなら企業内で使う場合、X220はポートリプリケーターをつけて利用する可能性が高いからだ。本体に内蔵された各種端子類は「出張やプレゼンの時などの緊急用」であり、Ethernetや外部ディスプレーなどの「常時つなぐ可能性のあるもの」は、ポートリプリケーターを経由して接続する設計思想なのだろう。
企業向けならそれもありだが、自腹で仕事用機材を買う「企業内個人」的用途だと、出費が大きくなるのはちょっと困りものだ。
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