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鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第31回

液晶3Dも本格派! 画質に加えて使いやすさも充実!!

プラズマ並の究極3D画質! パナソニック「VIERA DT3」

2011年03月30日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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プラズマに迫る3D映像の動きのスムーズさ
クロストークの少なさを実現

リモコンの3Dボタンを押すと現れる3D切り替えの画面。2D→3D変換はこちらで選択できる

リモコンの3Dボタンを押すと現れる3D切り替えの画面。2D→3D変換はこちらで選択できる

 注目の3D表示だが、はっきり言ってこれはかなりの高品質だ。3Dテレビは今春の第2世代モデルで各社ともに改良を進めているが、そのなかでもトップクラスの実力を備えていると言っていい。

 概要から説明すると、IPSαパネルは液晶層の厚みを薄くし、液晶材料も高流動のものを採用して応答速度を向上。応答時間を約1/2に短縮した新開発パネルを採用した。

4倍速パネル+APD駆動の組み合わせにより、従来モデルよりも書き換え速度がアップしている

4倍速パネル+APD駆動の組み合わせにより、従来モデルよりも書き換え速度がアップしている

 これに加え、3D表示時では駆動方式も変更。パネル駆動は4倍速で、新しい高速駆動技術である「APD(Advenced Pre-Charge Driving)」を採用することで、画面の書き換え速度を従来の4msecから2msecにまで高速化した。

 左右の画面を書き換える時間が短くなることで、さらにクロストークの少ない再生が可能になっている。

 Blu-ray 3Dソフト「クリスマスキャロル」などで映像を確認したが、クロストークの少なさに加え、液晶の3Dで気になることの多い映像のチラツキがずいぶん少ないと感じた。

 緻密なCGで再現された登場人物の肌の質感や、レンガ作りの街並みなどのディテールを立体的に再現するのはもちろんだが、3Dで再現されるディズニーのロゴアニメーションでも、動き回る光のひとつひとつまで緻密に3Dで表現されている。動きがスムーズになったことで、映像の見通しもよくなり細かい部分までよく見えるようになった。

 同社のプラズマテレビの3D映像に迫る、動きのなめらかさを実現したと言っていい。もともとパナソニックの液晶テレビは、プラズマ画質を意識して、コントラストの高さや黒の締まりを追求したものだったが、3D映像の印象もかなりプラズマに近い。

 動きの鮮明さなど、そのいいところをきちんと採り入れて実力を高めている。これは液晶とプラズマ、両方の方式を発売しているメーカーならではの強みだろう。

「液晶AI」は3D表示でも設定できる。左がオンで右がオフの画面。左の方が逆光の木々の枝などが若干シャープに見える

 LEDバックライトをエリアごとに点灯させるエリア制御を含む、コントラストの向上を行なう「液晶AI」は、3D表示でもオン/オフの選択が可能。オンにすればエリア駆動が働き、コントラストが高くなる。例えば、逆光で撮影された木々の陰の部分の締まりや、木洩れ日の光の強さがはっきりと再現される。

 通常はオンのままでいいと思うのだが、照明を落としてシネスコサイズの映画などを見ると、上下の黒幕部分の黒さが変化していることに気付くことがある。これが気になる場合はオフにするといいだろう。

「3D奥行き設定」をオンにすることで、奥行き/飛び出しの量を設定できる

「3D奥行き設定」をオンにすることで、奥行き/飛び出しの量を設定できる

3D奥行き調整の画面。左に-3まで、右に+3まで調整可能。マイナス方向が奥行き感で、プラス方向が飛び出し感の強調となる

3D奥行き調整の画面。左に-3まで、右に+3まで調整可能。マイナス方向が奥行き感で、プラス方向が飛び出し感の強調となる

 また、映像の飛び出し/奥行きの量を加減することができる「3D奥行き設定」も備える。どちらも飛び出し/奥行き方向の違いはよく出るのだが、最大値ではクロストークが増えてしまいがちな傾向もある。見やすさと立体感の兼ね合いで、微調整するといい。

3D表示時、部屋の照明のチラツキ(フリッカー)が気になる場合は、3Dリフレッシュレートを変更することで、チラツキが気にならないようにできる。また、2D表示時に映像の動きが不自然だと感じる場合は、4倍速を「オフ」にすることで、動画補完なし(同じコマ映像を繰り返し表示する)で表示することも可能

3D表示時、部屋の照明のチラツキ(フリッカー)が気になる場合は、3Dリフレッシュレートを変更することで、チラツキが気にならないようにできる。また、2D表示時に映像の動きが不自然だと感じる場合は、4倍速を「オフ」にすることで、動画補完なし(同じコマ映像を繰り返し表示する)で表示することも可能

 便利な機能としては、3Dメガネのシャッターの開閉と照明が干渉して起こるチラツキ(フリッカー)を低減する「3Dリフレッシュレート」の変更も可能。ビデオ撮影素材の60Hzでは、100Hzと120Hz、映画などの24Hzでは100/120/96Hzが選択できる。これにより3Dメガネの開閉タイミングも変わるため、照明との干渉を低減できる。部屋の照明のチラツキが気になる場合に有効だ。

 2D画質の映像もコントラストの高いくっきりとした映像だ。黒の締まりが良好で、黒に近いグレーが青っぽくなるようなことも少ない。キリっと輪郭が立ったメリハリの効いた映像だが、暗部の階調もなかなかスムーズで肌の再現などもなめらかだ。

 ちょっと気になったのは、標準モードの画質がやや暗く感じたこと。省エネ効果を高めるためかもしれないが、画質調整で少し明るめにすると、コントラストの高さやディテールの緻密さがよくわかるようになる。元々の実力が高いだけに、画質のいいところを抑えてしまっているように感じるのは残念。これは好みに応じて調整した方がいいだろう。

SD映像での超解像の比較。左が「強」で、右が「オフ」。とくに輪郭がくっきりとしているが、最大の「強」では効果が過剰気味

 DVDなどのSD画質をより高精細でアップコンバートする「超解像」は、オフを含めて4段階調整できる。精細感というよりも輪郭やコントラストが高まり、映像がよりくっきりとなる傾向で、最大の「強」では太書きの油絵のようなべったりとした質感になりやすい。「弱」や「中」あたりを使う方が、自然さを損なわずにくっきりとした映像を楽しめるだろう。

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