意外に面倒な初期設定
GALAPAGOSを箱から取り出して電源を入れた後、最初に行なうセットアップには少々面食らった。面倒くさいのだ。GALAPAGOSは無線LAN機能を内蔵し、端末単体でインターネットに接続して、電子書籍・雑誌を購入できるのが魅力のひとつだ。
だがそのためには、初期設定で無線LANの接続設定やユーザーアカウント設定が必要だし、書籍ストアである「TSUTAYA GALAPAGOS」の設定(特にクレジットカード)も必須だ。セキュリティーロックの設定も要る。また、これは記者の場合に限った話だが、GALAPAGOSをつなぐべき無線LANアクセスポイントや公衆無線LANサービスが多いのも、ちょっと困った点のひとつだ(AOSSやWPSで簡単に設定する手段も用意されているが、記者は使っていない)。これらもひとつひとつ設定する必要がある。
端末自体がタブレットコンピューターとしての機能を備えているのだから、これらが必要なのは当然だ。初期設定なのだから、基本的に一度やってしまえば、二度は必要ない。ただ、そういう面倒をすべてパソコン側アプリケーションに任せることで、端末自体は書籍を読むことに特化して手軽さを得たReaderと比べてしまうと、どうしても「手軽じゃないな」という印象は感じてしまった。
古賀訳版の「オリエント急行殺人事件」に歓喜
とはいえ所詮は初期設定の話。設定が済めば直接ストアに接続して、好きな本を購入できる。サービス開始時点の話だが、購入できる書籍雑誌のバリエーションの豊かさは、Readerのストアサービスである「Reader Store」より充実していると感じた。
特に魅力的なのは、豊富な雑誌コンテンツだろう。たまたま筆者の琴線に触れるコンテンツが多かったとも言えるが、「週刊東洋経済」や「週刊ダイヤモンド Digital」といったビジネス雑誌や、「日経エレクトロニクス」のような専門誌まで買えるのはうれしい。記者も以前に、日経エレクトロニクスを購読していたことがあるのだが、読み終えない号が次々と貯まっていき、置き場がなくなる事態に直面して購読を取りやめたことがある。電子書籍端末ならそんな心配もなく、しかも読みたい号だけを購入できるのだからありがたい。雑誌のカラフルなコンテンツは、GALAPAGOSのカラー液晶ディスプレーにも適している。
コンテンツにもよるが、狭い画面で雑誌を読む際に便利なのが、図版やレイアウトを無視してテキストだけを表示するモードが用意されていることだ。本文と図版が入り交じった誌面を紙と同じスタイルで読むには、5.5型のディスプレーはさすがに狭い。だがテキストだけ表示に切り替えれば、書籍を読むように本文を追えるので、読みやすさはかなり改善される。
いずれにしても、「本文を見ながら該当する図版も追いたい」という用途には、5.5型の画面サイズはきつい。雑誌コンテンツを主体に使いたい人は、10.8型のホームモデルを買った方がよさそうだ。
雑誌以外にも、Reader Storeにはなかった(本稿執筆時点)アガサ・クリスティ作品が、TSUTAYA GALAPAGOSでは販売されていることもうれしいところだ。特に「オリエント急行殺人事件」などは、記者が気に入っている古賀照一氏の翻訳版が買えるのが実にうれしい。古賀氏訳の角川文庫版を紛失してしまっていたのだが、まさか電子書籍で買い直せるとは思ってもいなかった。最後のポアロの台詞が、古賀氏の訳だと実に美しく話を締めくくるのだ。
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