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来年2月はスペイン・バルセロナに行くべし!!

2011年の携帯業界を占う3つのポイント

2010年12月22日 09時00分更新

文● 中西祥智/アスキー総合研究所

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“ガラパゴス”なスマホか、それともグローバルなスマホか?

「IS-03」

「IS-03」

 まずは端末について。KDDIがリリースしたスマートフォン「IS-03」は、ワンセグやおサイフケータイ機能も搭載したAndroid端末で、「ガラパゴスなスマートフォン、“ガラスマ”という声ももらっている」(KDDI増田氏)。このガラスマという言葉には、日本市場に閉じた製品という揶揄が多分に含まれているだろうが、各端末メーカーから日本向けにローカライズされた端末が続々と出てくることが、スマートフォンのすそ野を広げるという意味では必要だというのが、増田氏の考えだ。

 ガラパゴスやローカライズというキーワードについては、クロサカ氏も「日本には日本のマーケットがというのと、国際的なものでなければという議論になっても、結局両方とも必要ということにしかならないのではないか」と語るように、どちらが、という話ではないだろう。増田氏も「スマートフォンには、日本市場に合わせた製品展開が1つの方向性としてあり、もう1つの方向性はローカライズのないグローバルでの利用をベースにしたもので、それは共存しうる」と語る。

 XperiaやGALAXY Sといったグローバルスタンダードな端末と、IS-03をはじめとする“ガラパゴスな”端末を、各キャリア・端末メーカーがどのようなバランスで供給していくのかが、2011年の大きなポイントとなるに違いない。

 なお、そこには、シャープがAndroidタブレット「GARAPAGOS」で展開するような、端末とセットになったコンテンツ配信プラットフォームという要素も入って来る。シャープの八尋氏は、海外から、特に中国から、今後安価で優れた端末が入ってくるなかで、「量販店だけではなくTSUTAYAでも販売するなど、売り方や販路を変え、またコンテンツのバリューチェーン全体の価値を提案していく。まだまだやることはある」と意気込む。

KDDI増田氏

KDDI株式会社 コンシューマ商品統括本部 サービス・プロダクト企画本部長 増田和彦氏

 ただし、現在日本で普及しているグローバルスタンダードなスマートフォンは「それがことごとく海外ベンダーなのが残念」(KDDI増田氏)という状況にある。国内向け端末とは別に、グローバルスタンダードな端末を日本の端末メーカーが作り、再び世界に挑戦する可能性はあるのだろうか。

 2010年のMWCで、NTTドコモはスペインの携帯電話キャリアであるテレフォニカと、スマートフォンの共同調達で合意したと報道された(日本経済新聞 2010年2月18日)。ドコモはすでにテレフォニカへiモードサービスの技術を提供しているほか、2009年からは東芝のWindows Moblie端末を共同で調達・販売している。そして、テレフォニカがスペイン国内向けに提供するSaaSを、NECが2009年に受注しており、さらにテレフォニカとNECは、中南米向けクラウド事業を今後共同で行うとされている(クロサカ氏によれば、資本関係などもあって、テレフォニカは中南米のスペイン語圏のキャリアに大きな影響力を持つという)。

 このテレフォニカの例では、NTTドコモが東芝の端末をプッシュしており、またNTTドコモとテレフォニカの関係から、NECの受注につながったと見る向きもある。「垂直統合による展開の是非はともかくとして」とクロサカ氏が言うように、何らかの可能性を感じる話ではある。

 総務省 谷脇氏は、「国全体の競争力は、イノベーションを生み出す力があるかどうか」であり、日本メーカーの端末のシェアがどうこうという話ではないため、単独のメーカー・キャリアへの国の支援は否定する。だが一方で、日本の地上デジタル放送の規格を他国に展開するのと同様、複数の企業がオープンなイノベーションを広めるのは、「フルサポート」するという。

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