あなたの知らないWindows 第40回

最新版「PP7」に見るIE9の性能と互換性の高さ

PP7はIE9β版からさらに性能が向上

　PP7はIE9β版(関連記事)から、さまざまな部分でのチューニングが進められている。IE9 Test Driveの「Speed Demo」ページには、JavaScript、HTML5を使ったさまざまなベンチマークが掲載されている。今回は定番のJavaScriptベンチマーク「SunSpider0.9.1」に加えて、新たに追加されたJavaScriptベンチマーク「Shakespeare's Tag Cloud」、HTML5ベンチマーク「HTML5 Sudoku」と「Galactic」を使用してみた。

^{テスト環境は、Core i5-660(3.33GHz)、Intel Q57チップセット、CPU内蔵GPU、メモリー4GB、HDD 500GB。}

SunSpiderの計測結果。短い方が高速

　まず予備テストとして実施したSunSpiderでは、PP7が最も速かった。とはいえ、他社の次世代ウェブブラウザーもほとんどが200ミリ秒台と、同じようなレベルに達している。IE8と比べてIE9のJavaScriptは一桁も性能が向上しているため、実際にIE9がリリースされれば、多くのIE8ユーザーがそのスピードに驚くかもしれない。

　3種類の新規ベンチマークテストでは、PP7とIE9β版、先日公開されたFirefox 4.0b8 β版を比較してみた。結果はいずれも、PP7がFirefox4.0b8を上回っている。

Shakespeare's Tag Cloudは、JavaScriptにより、クラウドタグに関する重み付けをして、テキストの大きさを決めている

Shakespeare's Tag Cloudの計測結果。単位はミリ秒

HTML5 Sudokuは、JavaScriptとHTML5を使ってパズルの数独を解くテスト。IE9のJavaScriptは、マルチコアCPU対応やJavaScriptエンジンを内部に取り込むことで、性能を向上させている

HTML5 Sudokuの計測結果。単位は秒

Galacticは太陽系の星の軌道計算して、画面に表示するテスト。PP7では画面表示も高速化されており、60fpsで表示されるため、なめらかなアニメーション表示となっている

Galacticの結果。単位はkm/秒

　特にGalacticに関しては、PP7はFirefox4.0b8の2倍以上の性能を示した。Firefox4.0b8では見た目でも画面がカクカクしていたのに、PP7は画面がスムーズに表示されていた。Firefox4.0b8ではGPUアクセラレーションがオフになっているのかと思い、設定を確認したがオンであった。

　これらのベンチマークソフトは、マイクロソフトが開発したものだ。そのため「IE9向けにチューニングされているのでは？」という疑念も湧く。しかし、そのようなことをしても、IE9がリリースされて似たようなテストがよそからも登場すれば、すぐに化けの皮がはがれてしまう。実際、一部のベンチマークでは、FirefoxやChromeの方が高い性能を示している場合もあるので、おおむね公正と見てよさそうだ。

　実は今回、Windows 7 Service Pack1 RC(Release Candidate)版をインストールした状態でもテストしている。というのも、PDC2010のセッションで「Windows 7 SP1では、Direct2DやDirectWriteの性能が向上している」との解説があったからだ。

　しかし実際にテストしてみると、ほとんど変わらなかったり、テストによってはSP1なしのWindows 7の方が高い性能を示していた。そのため今回は掲載していない。現在のWindows 7 SP1はRC版であるため、デバッグコードなどが残っていて、チューニングが済んでいない可能性がある。Windows 7 SP1が正式リリースされたら、再度テストしてみたい。

CSS互換性テストの「Acid3」は、PP7でも95％。リリース時には100％をクリアしてほしいものだ。ちなみにCSS3のSelectorテストでは、41項目すべてをクリアしている

気になる正式リリースはいつか？

　IE9のロードマップでは、10月末にリリースされたPP7が、Platform Previewとしては最後になる。この後はIE9 RC版、そして正式版へと続いていく。

　スケジュールとしては、2010年内もしくは2011年の年明けにIE9 RC版がリリースされ、IE9正式版は、4月12日に米国ラスベガスで開催されるマイクロソフトのウェブ開発者向けカンファレンス「MIX11」でお披露目となると予想される。ただし開発に何かのトラブルがあった場合、中途半端にリリースするよりも、スケジュールを遅らせる可能性はある。

　いずれにせよ、うまく開発が進んだとしても、年明けにリリースされるWindows 7 SP1には、IE9は含まれないだろう。

■関連サイト

• IE9 Test Drive
• IE9β