これまでつかめていなかった
ハイエンドユーザーに切り込むLG
LGは初代Optimusを“スマートフォンを使ってみたいと思っていたがためらっていたユーザー向け”“複雑な操作を学ぶことなく使えるスマートフォン”と位置づけており、ハイエンドユーザーを他社から奪うというより、これまでの自社ユーザー(スマートフォン市場にしてみれば新規ユーザー)を潜在ターゲットとしていたように見える。今後ラインを拡大していくにあたり、ターゲット層も広げていくと思われるが、注目されるのがハイエンド――ここでTegraとなる。
NVIDIAのTegra採用のニュースは、8月20日付けのWall Street Journalが最初に報じたものだ。TegraはMicrosoftの「KIN」などでも利用されているSoCで、LGは動作周波数1GHzの「ARM Cortex-A9」を2個搭載した「Tegra 2」をハイエンド機種で採用する計画のようだ。Android端末ではQualcomm「Snapdragon」採用が目立つ(HTC「Incredible」やSony Ericsson「XPERIA X10」など)が、Tegraを選ぶことで差別化を図る。搭載機種がひしめくAndroidでは特に差別化が重要となるが、LGはNVIDIAの高性能グラフィックに賭けるようだ。
スマートフォンを中心に携帯電話市場は大きく動いており、LGのスマートフォンとフィーチャーフォンの両柱を立てた戦略が、短期的には成功していないことは数字が示している。同社が先に発表した2010年第2四半期(4~6月期)で、携帯電話事業は4年ぶりに前年同期比マイナス成長となった。またGartnerが発表した第2四半期の市場調査でも、同社のシェアは1.7ポイント減少している。Gartnerのアナリストは、「マーケットシェア値を稼ぐために利ざやの少ない市場を狙った戦略がうまくいかなかった」と分析している。LGの平均販売単価(ASP)は同期、27.8%も減少したという。
LGのマーケティング担当副社長のChang Ma氏はWall Street Journalの記事中、スマートフォン分野での出遅れを認めつつ挽回に自信を見せているようだ。同社のスマートフォンシェアは1.2%程度。LGは2010年のスマートフォンの出荷台数目標を500万台としているが、果たしてどうなるか。なおAndroid以外にWindows Mobile/Windows Phone 7搭載機が年内に出てくる可能性もかなり強そうだ。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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