Syncではフォルダー同期の機能を利用して、アプリケーションの設定データ(プログラムの設定)などを共有する機能も用意されている。標準では「Internet Explorerのお気に入り」「Officeのテンプレート」などが共有できる。
設定データの同期機能を使うためのSDKも公開されるため、他社のアプリケーションでもSyncでの同期は利用可能だ。今後、アプリケーション側がSyncの同期機能を利用するようになると、さまざまな設定やデータ、テンプレートなどを複数のパソコンでそれぞれ設定するのではなく、ひとつにまとめて運用可能になるだろう。
Syncは基本的に、自分が持つパソコン同士でのフォルダー共有を想定するサービスだ。しかし、メールで招待することで、ほかのユーザーと自分のパソコン上のフォルダーを同期できるようになる。
ほかのユーザーに自分のフォルダーを公開する場合、当然だが誰でもアクセスできるわけではない。Windows Live IDを持つユーザーを9名まで同期相手として指定できる。
また、同期するユーザーのパソコンには、あらかじめSyncのプログラムがインストールされている必要がある。さらに、受信した招待メールを使って、あらかじめ認証しておく必要もある。これ以外の方法では、ほかのユーザーとのフォルダー同期はできない。
SkyDriveとの同期をサポート
新しいSyncでは、パソコン同士のフォルダー同期だけでなく、SkyDriveとのフォルダー同期も可能になった。パソコンの電源が入っていなくても、あらかじめSkyDriveにフォルダーを同期させておけば、SkyDriveを経由してほかのパソコンとフォルダー同期できる。
ただし、SkyDriveとのフォルダー同期は容量が2GBに制限されている。SkyDriveは1ユーザーあたり25GBの容量が使えるのだが、Syncに関しては2GBしか利用できない。これは、無制限にフォルダーを同期できないように制限をかけているのだろう。将来的には、SkyDriveのディスク容量やSyncで利用できる容量が増える可能性もある。あるいは、「容量追加サービスは有料」という方向性も考えられる。
SkyDriveと同期しているフォルダーは、Syncのプログラムをインストールしていないユーザーも、招待を受ければSkyDrive上でアクセスできる。ウェブブラウザーでSkyDriveにアクセスして、そこから必要なファイルをダウンロードする、といったこともできる(この場合もフォルダー容量は2GBまで)。
Sync経由で自宅のパソコンにリモートアクセス
Syncはフォルダー共有だけでなく、パソコンへのリモートアクセス機能も提供している。この機能を利用すれば、例えば外出先のノートパソコンから、会社のパソコンにアクセス可能になる。
しかも、Windowsに用意されている「リモートデスクトップ接続」と同じ機能が、Sync経由でも提供される。だから、フォルダー共有のように接続先パソコンのファイルにアクセスするだけでなく、リモート側から接続先パソコンのアプリケーションを起動して、作業することも可能だ。
リモートデスクトップ接続と異なるのは、Windows Liveを経由してアクセスするために、難しいファイヤーウォールの設定などさまざまな設定を、Syncが自動的に行なってくれることだ。ユーザーは高度な知識を持っていなくても、簡単にアクセスできる。
現状Syncのプログラムは、Windows版しかリリースされていない。そのため、Windows同士ではリモートアクセスを利用できるが、Windows以外のOSに関しては、まだ未定だ。SyncのMac版は開発が進んでいるため、比較的早くMacからWindowsへのリモートアクセスは可能になるかもしれない。
また、以前のMeshではWindows Mobile端末からのリモートアクセスがサポートされていた。将来的にはWindows Phone 7やiPhone、iPadなどからの接続もサポートされる可能性もある。
★
従来のSyncは、Windows Live Essentialsの中ではメジャーとは言えなかったため、利用しているユーザーも少なかっただろう。しかしWave4でのアップデートにより、いろいろなことに利用できるようになった。特に複数のパソコンを持っているユーザーとっては、かなり便利なシステムだ。ノートパソコンを持ち歩いたり、出張が多いユーザーは、利用をお勧めしたい機能だ。
現在βテストが行なわれている次期Windows Home Server(コード名 Vail)でも、Syncのフォルダー共有やリモートアクセス機能をサポートする予定になっている。Syncのリモートアクセス機能を利用すれば、WHS側で難しい設定をしなくても、インターネットから簡単に自宅のWHSにアクセスできるようになるだろう。
この連載の記事
-
第50回
PC
次期IE「Internet Explorer 10」プレビュー版が公開 -
第49回
PC
RTM版も登場 Windows Home Server 2011の変更点とは -
第48回
PC
5秒で起動するSplashtop OSを自作パソコンで試す -
第47回
PC
ベンチで検証 Internet Explorer 9 RCの互換性と性能 -
第46回
PC
正式版の直前となるInternet Explorer 9 RC版が登場 -
第45回
PC
Silverlightをさらに進化させる「Silverlight 5」 -
第44回
PC
「Windows on ARM」が持つ意味と課題は何か? -
第43回
PC
GPUを利用できる仮想化ソフト XenClient 実践編 -
第42回
PC
複数のWindowsを使い分ける仮想化ソフト XenClient -
第41回
PC
3秒で起動しWindowsと共存するOS「Splashtop OS」 -
第40回
PC
最新版「PP7」に見るIE9の性能と互換性の高さ - この連載の一覧へ