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あなたの知らないWindows 第30回

リモートアクセスまで可能な新しいWindows Live Sync

2010年07月08日 12時00分更新

文● 山本雅史

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 Syncではフォルダー同期の機能を利用して、アプリケーションの設定データ(プログラムの設定)などを共有する機能も用意されている。標準では「Internet Explorerのお気に入り」「Officeのテンプレート」などが共有できる。

 設定データの同期機能を使うためのSDKも公開されるため、他社のアプリケーションでもSyncでの同期は利用可能だ。今後、アプリケーション側がSyncの同期機能を利用するようになると、さまざまな設定やデータ、テンプレートなどを複数のパソコンでそれぞれ設定するのではなく、ひとつにまとめて運用可能になるだろう。

IEのお気に入りやOfficeのテンプレートを同期できる

「プログラムの設定」では、IEのお気に入りやOfficeのテンプレートを同期できる

 Syncは基本的に、自分が持つパソコン同士でのフォルダー共有を想定するサービスだ。しかし、メールで招待することで、ほかのユーザーと自分のパソコン上のフォルダーを同期できるようになる。

ほかのユーザーからのフォルダー同期の招待メール

ほかのユーザーからのフォルダー同期の招待メール。招待の表示をクリックすれば、自動で設定される

 ほかのユーザーに自分のフォルダーを公開する場合、当然だが誰でもアクセスできるわけではない。Windows Live IDを持つユーザーを9名まで同期相手として指定できる。

 また、同期するユーザーのパソコンには、あらかじめSyncのプログラムがインストールされている必要がある。さらに、受信した招待メールを使って、あらかじめ認証しておく必要もある。これ以外の方法では、ほかのユーザーとのフォルダー同期はできない。


SkyDriveとの同期をサポート

 新しいSyncでは、パソコン同士のフォルダー同期だけでなく、SkyDriveとのフォルダー同期も可能になった。パソコンの電源が入っていなくても、あらかじめSkyDriveにフォルダーを同期させておけば、SkyDriveを経由してほかのパソコンとフォルダー同期できる。

 ただし、SkyDriveとのフォルダー同期は容量が2GBに制限されている。SkyDriveは1ユーザーあたり25GBの容量が使えるのだが、Syncに関しては2GBしか利用できない。これは、無制限にフォルダーを同期できないように制限をかけているのだろう。将来的には、SkyDriveのディスク容量やSyncで利用できる容量が増える可能性もある。あるいは、「容量追加サービスは有料」という方向性も考えられる。

 SkyDriveと同期しているフォルダーは、Syncのプログラムをインストールしていないユーザーも、招待を受ければSkyDrive上でアクセスできる。ウェブブラウザーでSkyDriveにアクセスして、そこから必要なファイルをダウンロードする、といったこともできる(この場合もフォルダー容量は2GBまで)。

ウェブブラウザー上で同期フォルダーを確認できる

SyncをSkyDriveに同期させれば、ウェブブラウザー上で同期フォルダーを確認できる。ただし、通常のSkyDriveサイトではなく、devices.live.comからアクセスする

SkyDriveに同期させたフォルダーの内容

SkyDriveに同期させたフォルダーの内容。写真の内容を見るには、ダウンロードする必要がある。ウェブブラウザー上でSilverlightを使ってプレビューできると便利なのだが


Sync経由で自宅のパソコンにリモートアクセス

 Syncはフォルダー共有だけでなく、パソコンへのリモートアクセス機能も提供している。この機能を利用すれば、例えば外出先のノートパソコンから、会社のパソコンにアクセス可能になる。

Sync経由でリモートアクセスするには

Sync経由でリモートアクセスするには、接続先のパソコンがリモート接続を許可している必要がある(赤枠内)

リモートアクセスでほかのパソコンに接続

リモートアクセスでほかのパソコンに接続。画面上に接続先のデスクトップが表示されている。左の表示ウインドウを使って、画面の大きさを変更可能

 しかも、Windowsに用意されている「リモートデスクトップ接続」と同じ機能が、Sync経由でも提供される。だから、フォルダー共有のように接続先パソコンのファイルにアクセスするだけでなく、リモート側から接続先パソコンのアプリケーションを起動して、作業することも可能だ。

 リモートデスクトップ接続と異なるのは、Windows Liveを経由してアクセスするために、難しいファイヤーウォールの設定などさまざまな設定を、Syncが自動的に行なってくれることだ。ユーザーは高度な知識を持っていなくても、簡単にアクセスできる。

 現状Syncのプログラムは、Windows版しかリリースされていない。そのため、Windows同士ではリモートアクセスを利用できるが、Windows以外のOSに関しては、まだ未定だ。SyncのMac版は開発が進んでいるため、比較的早くMacからWindowsへのリモートアクセスは可能になるかもしれない。

 また、以前のMeshではWindows Mobile端末からのリモートアクセスがサポートされていた。将来的にはWindows Phone 7やiPhone、iPadなどからの接続もサポートされる可能性もある。


 従来のSyncは、Windows Live Essentialsの中ではメジャーとは言えなかったため、利用しているユーザーも少なかっただろう。しかしWave4でのアップデートにより、いろいろなことに利用できるようになった。特に複数のパソコンを持っているユーザーとっては、かなり便利なシステムだ。ノートパソコンを持ち歩いたり、出張が多いユーザーは、利用をお勧めしたい機能だ。

 現在βテストが行なわれている次期Windows Home Server(コード名 Vail)でも、Syncのフォルダー共有やリモートアクセス機能をサポートする予定になっている。Syncのリモートアクセス機能を利用すれば、WHS側で難しい設定をしなくても、インターネットから簡単に自宅のWHSにアクセスできるようになるだろう。

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