チップセットが一段落したところで、今回はちょっと趣向を変えてインテルのAtomプロセッサーの総ざらえをしてみたいと思う。Atomの場合、新製品が出てもコアそのものは変わっていない。にも関わらず、さまざまな用途に多数のバリエーションが存在し、おまけにCPUそのものに加えてチップセットやプラットフォームにも個別にコード名がついており、極めて混乱しやすい。そこで、このあたりを整理してみた。
高価なSilverthorneから始まったAtom
ネットブック向けには低価格化が可能なDiamondvilleを投入
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| Atomプロセッサーとチップセット、プラットフォームのロードマップ |
現時点でAtomのCPUコアそのものは、1種類しかない。つまり、2008年4月に登場した「Silverthorne」コア(Atom Z5xx)と同じものが、今も使われている。これに代わる製品は、32nmプロセスを使った「Cederview」になるが、登場するのは2011年の予定である。つまり、それまでの間は引き続き、SilverthorneコアをベースとしたAtomが使われていく。
![]() | SilverthorneことAtom Z5xx |
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| 図1 Menlowプラットフォームの構成 |
細かくラインナップを見てみよう。まず2008年に登場した最初の製品が、UMPC(Ultra Mobile PC)向けとなる「Menlow」プラットフォームだ。CPUがSilverthorne、チップセットは「Poulsbo」となる。UMPC、つまり超小型PCサイズをターゲットとしたため、CPU向けには従来よりも小さなパッケージが用意された。Poulsboも同様で、従来は2チップ構成だったものを1チップに押し込めた形になる。最終的にこれは「Atom Z 5xx」シリーズ+「UL11」「US15」シリーズという形でリリースされた(図1)。
このSilverthorneをベースに、もう少し廉価な方向に振ったのが「Diamondville」である。2008年にインテルが、このAtomを念頭に新たに作り出したフォームファクターが、ネットブック/ネットトップである。基本は、従来の小型ノートや省スペースデスクトップよりも安価な製品を狙ったものだ。この方向性は当たり、特にネットブックは猛烈な数の製品が市場に投入された。
ただ製造コストの観点からすると、ここにSilverthorne+Poulsboをそのまま投入するのは不経済だった。というのも、Silverthorneは実装面積を抑えるために、携帯電話並みに集積度の高いパッケージを使った結果、「CPUのダイそのものよりも、パッケージの方が高価」と言われるほどになる。しかも、配線ピッチが極小なので、やはり携帯電話並みのプリント基板が必要だったからだ(12層配線が最低、普及帯は14層とまで言われた)。
![]() | Silverthorne(Z5xx)とDiamondville(N270)のパッケージサイズの違い |
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そこで通常のPC同様に、4層基板で実装できるような大きなパッケージを使ったのがDiamondvilleである。チップセットもまた、集積度の高い高価なものでなく、これまで同社がノート向けに採用してきたIntel 945Gシリーズをそのまま流用することで、コストを抑えることに成功する。
ちなみに、この世代ではネットブックとネットトップのどちらも、コード名がDiamondvilleとなっており、若干わかりにくい。またネットブックとネットトップでは、若干CPUの構成が変わる。ネットブックの方は、バッテリー駆動時間確保のために消費電力を低く抑える必要があり、1.60GHz(のちに1.66GHz品が追加)/2.5Wの構成だが、ネットトップはそこまで省電力へのニーズが高くないため、1.60GHz/4Wとされている。
むしろネットトップの方は、「絶対的な性能をもう少し引き上げたい」という要望が多かったようで、後に1.6GHzのデュアルコア版である「Atom 330」も追加された。
また組み合わされるチップセットは、デフォルトは「Intel 945GC」+「ICH7」であるが、このチップセットの消費電力が20Wと、CPUよりはるかに高いという問題があった。そのため、早い時期に「SiS671」+「SiS968」を使うデザイン案がインテル自身から提示されており、若干だがこれを使った構成も見受けられた。
加えて言えば、このネットブック/ネットトップマーケットにNVIDIAも「ION」プラットフォームを投入するが、これは(SiSと異なり)インテルは何のオーソライズもしていないので、ここでは省略する。
この連載の記事
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- 第82回 スマートフォンを席巻するARMプロセッサーの歴史
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