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iPhoneアプリ勉強会レポート(第1回)

ユードー・南雲氏が語る「iPhoneアプリ開発の現場」

2010年06月23日 14時00分更新

文● 倉西誠一(@kararemichi

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ニッチ過ぎるアプリのほうが市場を突き抜ける

 こんにちは、ユードーの南雲です。今日はよろしくお願いします。

 僕自身はもともとは家庭用ゲームのサウンドクリエイターだったのですが、「System 7」当時にアップルのラジオCMの音楽のお仕事をやって以来、アップルファンです。なので、アップルの仕事をするということには、違和感はありません。

 ユードーは、2008年の夏にiPhoneアプリの開発を始めました。もちろん、iPhoneアプリを作るなら世界市場を目指すべきなのですが、言語の壁はどうしても大きいと思います。

 でも、音楽ならいいんじゃないかと考えまして、1ヵ月程度の開発期間で「Aero Guitar EX」を作ったところ、北米でもベスト5に入るヒットになりました。

 また、そのあとに作った「Vocoder Synthesizer SV-5」」もヨーロッパ中心にヒットしましたし、「8Bitone+ MICRO COMPOSER」は1位にもなりました。

 これらの経験を通して、ニーズとしてはニッチすぎるアプリの方が、実は市場的には突き抜けることができるんだなということを実感しました。

 今、ユードーは自社でリリースするアプリの開発と受託開発を半々くらいで進めています。自社開発の「PianoMan」も200万DLを達成しましたし、受託の方では「太鼓の達人」がランキング1位を獲得しました。それを含めると、合計で5本のランキング1位タイトルを出したことになります。


世界で1つのアプリを短期間で作るには?

 改めて説明する必要もないくらい、iPhone市場のスピードはものすごく速いです。先日のWWDCでもいくつか数字が明らかになりましたが、今ヒットしているアプリも、どんどん古くなるわけです。

 そんな市場でヒット作を出そうと思ったら、独自のアイデアを試すか、あるいはしっかりマーケティング調査をして、次ぎに来るトレンドを読んで作るか、いずれかの方法しかないだろうと思うのです。

 ユードーはまちがいなく前者です。どんどんオリジナルのアイデアを出しています。去年は「1日1企画を立てよう」という活動をやっていたくらいです。

「1日1企画」

 先ほどもお話ししましたが、実感として、世界でただ1つ、マニアックでクレイジーなものをリリースした方が、結果としては広がっていくんだなと思っています。

 その点を意識しながら、1日1企画というか、僕が最低限の仕様書を作って、そこから作業がはじまって、スタッフみんなの発案や発言をまとめていく中で、最終的な仕様が決まる。そういう企画の練り込み方をしています。

 企画も開発もスピーディに進めていますが、デザインは非常に重視しています。どういうことかというと、デザインはユーザーへの「おもてなし」だと考えています。デザインの差が、そのままアプリの差になるんじゃないかと思うくらいです。

 また、デザインのセンス、クオリティー、よしあしはデザイナーでないと分からない、判断できないのではないかとも考えています。ユードーには専任のデザイナーが三人いて、彼らがアイコンやロゴなど、アプリに必要なデザインを作り上げています。

開発風景?

 ちなみにこれが、ユードーの開発風景です。若干、演出入っていますが(笑)。

 僕は、新規で前例のない企画ほど、開発期間は絞るべきだと考えています。最短で1週間です。1、2週間というところでしょうか。そういうスピードで作っているうちに仕様が削れてきて、シンプルなアプリになります。

 そうやって小さく生んで、ユーザーのみなさんの意見に沿うかたちでアップデートしていって、大きく育てることを考えています。そうした方が、喜ばれますしね(笑)。

 また、アプリの価格も重要な要素ですが、有料版、無料版を別々に出すという方法は、どうでしょうか? アプリは1つに集約すべきだと思います。ユードーでも価格キャンペーンをやったことはありますが、それは告知を誘って長く使っていただこうと考えたからです。


新OSではGame CenterとiAdに注目

 まもなくiOS4、iPhone 4がリリースされますが、これには日本の開発者も付いていくべきです。特に「Game Center」と「iAd」には注力すべきです(関連記事)。ユーザーのクチコミや様々な連携から、ゲームアプリへの誘導ができます。

 iAdでは、リッチな広告コンテンツが実現します。これはソーシャルな要素と広告の複合型のようなものだと捉えています。iAdによって、無料アプリは、爆発的に増えるんじゃないかなと思います。

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