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iPhone OS 4の「iAd」はモバイル広告を変えるか?

2010年04月16日 15時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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iPhone OS 4の隠し球「iAd」は、IT業界にどんな影響を与えるだろうか。画像はアップルが配信しているストリーミング動画をキャプチャーした(以下同)

 先週、アップルはiPhone/iPod touch向けOSの最新版となる「iPhone OS 4」を披露し、開発者向けにβバージョンの提供を開始した(関連記事)。

 このバージョン4では100以上の新機能が盛り込まれる予定だ。その中で今回注目したのは、広告プラットフォーム「iAd」だ。アップルがモバイル広告の分野を押さえることで、何が起こるだろうか? 二人の識者にコメントをいただいた。

アプリ上でiAdによる広告を開いた場合、左上の「×」ボタンをタップすることで、元のアプリに戻れる。従来のiPhone向け広告は、多くがSafariで見るもので、元のアプリに戻るのが面倒だった
HTML5を採用して、表現力も向上。動画や音声など、リッチな表現が可能なコンテンツを広告として埋め込める。iPhone開発者はアプリにiAdの広告を組み込むことで、アップルが得た広告収入のうち6割を得られる
「iPhoneユーザーは日に30分アプリに触れ、各端末で10の広告が毎日表示される。iPhoneにおける広告のインプレッション(広告表示回数)は1日で10億に達する」と、アップルCEOのスティーブ・ジョブズは説明する


アイレップSEM総合研究所 所長 渡辺隆広氏

 1997年、日本で初めてSEOサービスを開始。2005年4月より株式会社アイレップにてサーチエンジンマーケティング総合研究所所長を務める。個人では検索エンジン業界専門のブログメディア「SEMリサーチ」を展開。ASCII.jpでも同サイトの記事を配信している。主な著書に「検索にガンガンヒットさせるSEOの教科書」(翔泳社刊)など。

 アップルが2010年初頭、モバイル広告の米クアトロ・ワイヤレスを買収すると発表した時点で、同社が本格的にモバイル広告に進出することは予想されていたが、今回、正式に「iAd」と呼ばれる広告プラットフォームを発表した。

 iAdは、(1)広告クリック時に、別サイトに移動せずに、アプリ内でフルスクリーンの高品位な映像やインタラクティブな広告を配信できる、(2)位置情報によるターゲティングをサポート、(3)広告はHTML5で作成、Flashを排除──といった特徴を持つ。

 アップルにとって最大のライバルはグーグルであり、Android、AdMobだ。グーグルはAdWordsという広告プラットフォームにより世界最大のオンライン広告代理店へと成長してきた。そしてAdMobの買収を通じて、今度はアップルがリードする、モバイル市場の広告分野への踏み込みを強化してきている。

 こうした動きに対し、アップルは、モバイル広告機能をiPhone OSに組み込み、いつでも自らのビジョンを実現するために障害となる「邪魔者」は排除できるようプラットフォームを強固にコントロールできる環境を構築して、モバイル広告の覇権を握ろうとしているようだ。

 サードパーティーの広告配信も許可するようだが、iAdがサポートする、インタラクティブな広告や位置情報などの利用は制限される可能性がある。例えば、他社の広告は従来通り、広告クリック時にサイトに移動する、フルスクリーンの動画配信をサポートしないといった具合だ。クリエイティブな開発者に対して、iAdがユーザ体験や表現力で優れた唯一の広告と位置づけることで、プラットフォームの魅力度を高めると共に、最大のライバルとなるグーグルの勢いを削ごうとするだろう。

 スティーブ・ジョブズ氏が発表の中で「検索はモバイルでは使用されていない」と発言したように、(少なくとも現在は)相対的に検索の重要性は低く、多くのユーザがアプリを利用している。App Storeからのダウンロード数は40億、登録アプリは20万に迫る。アプリへの広告配信は収入の源泉であり、それをGoogleを牽制し、優位に進められるような戦略を取っていくだろう。

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