テレビ視聴・録画ソフトは番組表の改善を望む
テレビの視聴や録画は、オリジナルアプリケーションである「Qosmio AV Center」を使用する。Qosmio AV Centerの動作は軽快で、ほとんどストレスなく使用できる。起動は10秒程度かかるが、チャンネル切り替え時の待ち時間は約2秒程度と許容範囲。付属リモコンでの操作も可能で、多くの機能はリモコンから操作できる。
ちょっとだけ残念なのは、番組表の情報量が少ないことだ。番組表自体は1週間分の番組情報を持っているが、一度に表示できるのはマウスモードで6時間分、リモコンモードでは4時間分だけで、番組タイトルも一部しか表示されない。リモコンモードだと、翌日へ移動するボタンもないので、4時間単位で送らなければならないのが少し面倒だ。マウスモードに変更しても、デザインはリモコンモードのままで、表示時間は増えるが1番組あたりの情報は変わらない。番組タイトルくらいはわかる程度に情報量を増やすことはできないだろうか。
SpursEngine搭載でBDへの高速ダビングが可能
Qosmio V65の最大の特徴は、画像処理エンジン「SpursEngine」を搭載していることだ。SpursEngineはソニーの「プレイステーション3」や、東芝の液晶テレビ最上位モデル「CELL REGZA」モデルに搭載されているCPU「Cell B.E.」をベースにして設計された画像処理プロセッサーである。
SpursEngineの用途は複数あるが、ことテレビ関連に関しては、録画時にH.264形式へと再圧縮して長時間録画を可能とするエンコード用途がメインと考えていい。そのほかにも、DVDのSD解像度映像をHD解像度へとアップコンバートする機能(後述)や、H.264映像のデコードにも利用され、映像利用時のCPU負荷を大幅に下げ、高速処理を可能とする。
Qosmio AV Centerでテレビ番組を録画する場合、録画画質はMPEG-2 TSの最高画質から、H.264の10Mbps/8Mbps/5.5Mbps、H.264(SD) 2Mbpsの5種類から選択可能だ。さらに、BDやDVDへの書き出し時に、これらの画質へ再エンコードして収録することも可能だ。MPEG-2 TS以外の画質を使用する場合、SpursEngineのエンコーダーが使われる。
SpursEngineのすごさは、そのエンコード処理能力である。通常MPEG-2形式の映像をH.264形式へと変換する場合、高度な圧縮処理が必要となるので、非常にCPUへの負荷が大きい。例えば、Core 2 Duo E7500(2.93GHz)を使用し、変換ソフトに「TMPGEnc 4.0 Xpress」を使って30分番組のTSデータをMPEG-4 AVC/H.264にエンコードすると、実時間の約3倍の1時間20分かかる。
ところがQosmio V65で同様の処理を行なうと、約15分で処理は終了する。BDへの書き出しを同時に行なっても、必要とする時間は17分。実時間以下で再エンコードを完了し、その上ディスク書き出し処理まで終わるのだ。なお、エンコード処理はSpursEngineが行なうので、処理中のCPU使用率は非常に低く、20%前後にしかならないのが嬉しい。
アップスキャンコンバート機能の「Resolution+」は、SD解像度の映像をHDにアップスキャンする際に、さまざまな高画質化処理を行なって、美しく表示してくれる機能だ。とくにDVDなどのSD映像をフルHDのディスプレーで表示する際に効果的な機能だが、Qosmio V65のディスプレーの解像度は1366×768ドットなので、多少の効果はあるものの、それほど大きな効果は感じられなかった。
YouTubeなどのネット動画の再生でもResolution+の機能が利用可能だ。ウェブブラウザー上のFlash再生画面で、Resolution+の有効/無効を切り替えられる。ネット動画を高画質のHD映像で見られるのは面白い機能だが、こちらも期待したほどの高画質化は感じられなかった。HDMI出力経由で大画面のフルHDテレビにでもつなげれば、効果をより強く感じられたかもしれないが。
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