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【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ

オタクについての番組とデータ

2009年12月29日 09時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

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 年明け早々、TOKYO MXで「遠藤諭のO-Japan戦略/~2015年、オタクはどうなる?」という番組の司会をやらせてもらうことになった。60分の討論に参加いただくのは、日本のポップカルチャーの論客やジャパンクールの体現者の方々である。番組概要は、以下のとおり。

【放送日】2010年1月2日(土)
【放送時間】22:00~23:00
【チャンネル】TOKYO MX
【進行】遠藤 諭(アスキー総合研究所 所長)
【出演】中村 伊知哉(慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)
    東 浩紀(批評家)
    吉田 博高(株式会社虎の穴 代表取締役社長)
    桃井 はるこ(アーティスト)
    ※敬称は略させていただきました。


 番組の担当者K氏とわたしがなんとなく考えていることは、「オタクを通して、バッサリと未来を予見できないか」ということだ。世界的に見ても先行き不透明と思えてしまう日本だが、どこかに線を引いてみると浮かび上がってくるものがあるでしょう。

 わたし的には、パソコン屋がでしゃばって司会させてもらう意味というものを出せたらいいなと思っている。

 ネットがあらゆる社会的な仕組みのベースに来て、しかも、Twitterの盛り上がりのように、まだいくらでも変化していくというタイミングなのだ。新聞やテレビのような「大衆」とか「世論」とかいった言葉を生み出したメディアのメカニズムが、まるで様変わりしようという時代である。世の中一般の話をするときに、「SNS」とか「Android」とか「Twitter」とか、せめてその程度のテクノロジーワードが共通認識にあるかどうかで、ちゃんと話が前に進むかどうかの境目まできている。

 わたし(というかアスキー総研というべきか)は、パソコンという一番コンシューマ寄りのデジタル分野でやってきた。毎月200~300ページの誌面を作るために、当事者と会い、スタッフや筆者と議論をしてきた。パソコン通信というネットの練習問題をこなし、1980年代までは日本製一色だったPCの中身が、一夜にして台湾・中国製に変わるのも目の当たりにした。オープンソースやフリーソフトがソフトウェア産業を変え、そしてインターネットがやってきた。

 一番ミーハーで、流れやすい部分を見てきただけなのだが。要するに、ネットやデジタルという「地元」をよく知っている番頭さんのような立場で、「O-Japan戦略」という番組の司会・進行をやらせてもらおうというわけだ。

 コンテンツとデジタルの境界領域がアスキー総研のテーマなのだが、ちょうどいま「MCS(メディア&コンテンツサーベイ)」という調査をまとめている。1万人の一般ユーザーに対して、映画からマンガ、アニメなどのコンテンツ消費の詳細やネット上の行動などについて、280の設問、5400の選択肢を聞いたものだ。

 現在、データの集計・分析作業が佳境で、1月下旬には報告書やクロス集計可能なアプリケーションを提供する予定で進めている。このMCSの中でオタク的な傾向を抽出しようとしているが、単純集計でも一定の傾向が見えてくる。番組の中でも触れさせてもらうつもりだが、これがちょっと面白い(ここでは集計方法まではご紹介できないのだが)。

 たとえば、コミックスの購読冊数(まったく読まない人から月15冊以上読む人まで、7段階で集計)で、興味分野の傾向を出してみる。なんと、「ニュース」「ビジネス」「国際情勢」「教育」は、月15冊以上コミックスを読む層が読む層が最も興味を持っているのだ。外向的でないように見えて、実はグローバルを見ているオタクたち。恐るべし。彼らは、同時に「ノンフィクション」「ライトノベル」「マンガ」「ゲーム」「コンピュータ」についても、最も興味を持っている層なのだが。

コミックスの購読冊数による傾向

コミックスの購読冊数による傾向

 そんな彼らが、2015年にどうやっているかって、ちょっと興味があるでしょう。「EPIC 2014」の翌年、我々がどうなっているかも考えましょう。


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