前回は、Intelの最新CPU「Core i5」のオーバークロックを紹介したが、今回は、AMDの最新CPU「Phenom II」のオーバークロックについて解説することにしたい。
※オーバークロックはメーカー保証の対象外となります。試される場合は自己責任にてお願いします。 レビューに掲載されている内容で作業を行なって、万一故障した場合でも当方は一切責任を負いかねます。
Phenom IIのオーバークロックのポイント
Phenom IIは、AMDの最新CPUであり、Phenomの後継となる。AMD製CPUは、Intel製CPUに比べて価格が安く、コストパフォーマンスに優れている。オーバークロックによって1,2ランク上の性能を実現できれば、さらにコストパフォーマンスは向上する。
Phenom IIは、CPUダイにメモリコントローラを集積しており、チップセットとのやりとりはHyperTransportを利用して行なう。他のCPU同様、外部から供給されるベースクロックを内部で何倍かに逓倍して、CPUクロックとしている。通常のPhenom IIは、クロック倍率は固定であり(Cool'n'Quiet有効時は、クロック倍率が定格よりも下がる)、クロック倍率を上げることによるオーバークロックはできないが、製品名の最後にBlack Editionが付くCPUは、クロック倍率のロックが解除されており、クロック倍率を自由に変更できる。実際には、Phenom IIシリーズの上位モデルはすべてBlack Editionであり、クロック倍率を変更できるので、オーバークロックに向いている。
なお、Phenom IIにも、IntelのSpeedStepテクノロジに相当するCool'n'Quietテクノロジが実装されており、CPU負荷が低いときには自動的にクロック倍率を下げて、消費電力と発熱を下げることが可能だ。
Phenom IIやAthlon II X2などのAMD製CPUでは、同じクロックで動作する製品でも、TDPが異なるものがある。例えば、現時点での最高クロック品であるPhenom II X4 965 Black Editionは、まずTDP140W版が発売されたが、後にTDP125W版が登場した。TDP125W版は、コアのステッピングが新しくなっており、発熱と消費電力が下がっている。パフォーマンス自体は140W版と同じだが、オーバークロック耐性はTDPが低いもののほうが高い。また、モデルナンバーの末尾にeが付く製品も低消費電力版である。低消費電力版は通常版よりも多少価格にプレミアムが付いていることが多いが、オーバークロック前提なら低消費電力版がお勧めだ。
ベンチ環境
それでは、実際にミドルレンジクラスのマザーボードを利用して、TDP125W版のPhenom II X4 965 Black Editionのオーバークロックを行なってみよう。今回は、売れ筋であるAMD 785G搭載マザーボードを3製品用意して、マザーボードとメモリ(一部DDR2メモリ対応なので)以外のパーツを共通にして検証を行なってみた。検証に利用した共通パーツは、以下の通りだ。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | Phenom II X4 965 Black Edtion(TDP125W版) |
メモリー | GeIL製PC3-12800 2GB×2 |
ビデオカード | EVGA製GeForce GTX 275 |
HDD | Western Digtal製WD10EADS(1TB) |
OS | Windows 7 Ultimate (32bit) |
なお前回と同じく、ここでは初心者をターゲットとしているため、BIOS設定画面で直接変更するのはベースクロックのみとする。
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