NotesとLiveの関係そして
自社保有とクラウドの関係
ちょっと気になるのが既存のNotes/DominoとLotusLiveの関係だ。日本では、Notes/DominoはSaaS展開もしている。また逆に、Notes/DominoとLotusLiveは、技術的には関連性のないもので、違うアーキテクチャに立脚している。ホテルの例で示したとおりの連携は取れているが、今後はどのような関係になるのか?
森島氏は、まずはNotes/Dominoの利点に言及した。Notes/Dominoのコンペティタは、LotusLiveではなく他のクラウドサービスだ。
「言い方にもよりますが」と前置きしつつも、森島氏はNotes/Dominoの利点はポータビリティだと言い切る。Notes/Dominoのアプリケーションは、すべて.nsfというNotes/Dominoのフォーマットに統一された1ファイルとなっている。基本的には、nsfファイルを開く=Notes/Dominoのアプリケーションを開く、というスタイルだ。つまり、基本的にはnsfファイルさえ移行させれば、システムの移行も完了ということになる。だから、ビジネスパートナーのシステムにもすぐに載せられるわけだ。
ところが、他の業務アプリのクラウドサービスの場合は、インフラやOS、アプリケーションを動かすための基盤メカニズムすべてがデータセンター内に置かれる。データを引き上げることはできるものの、アプリケーションは持って来られない。ロジックに業者のフレームワークを使っているからだ。
では、肝心のというか、最初の疑問だったNotes/DominoとLotusLiveの関係は?
これは、Notesクライアントに実装されたマッシュアップ系技術が対応する。現在、企業ポータル製品がいくつか登場しているが、こうしたポータルのポートレイト連携を、Notesはマッシュアップで実現する。具体的には、Notesの上に従来のNotes/Dominoのアプリケーションが表示されるほか、LotusLiveも、その他のWebアプリケーションもすべて統合され、場合によっては連携される。
Notesであれば、SaaSだけのマッシュアップだけではなくて、社内向けのWebシステム統合を、フロントエンドで実現可能というわけだ。しかも、単に個別のウインドウをNotesの画面の中に統合するのではなく、たとえば特定の文字列をNotesが見つけて該当するDBに接続に行くというような、機能的な展開もできる。
クラウド時代になったところで、いやだからこそ、巷には様々な形態の業務システムがあふれかえり、しかもユーザーはそれらを各々使い分けていかなければならない。「Notesは、アプリケーションの分野でサービスを提供するエンジンのような位置づけになると思います」(森島氏)。
IaaSなどのインフラ系のクラウドを除けば、ERP、会計、SFAなど、アプリケーションはいろいろなサービスが登場してきた。それらを繋ぐにはどうしたら? という課題が当然出現したが、同じ課題はクラウドと自社保有アプリケーション間においても起こってくるはずだ。これを、フロントエンドで解決するのがNotesクライアントというわけだ。
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