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コスト削減100本ノック 第42回

PL/SQLサポートで移行作業もラクラク

【42本目】あのDBからの乗り換えで半額に!IBM DB2という選択

2010年10月22日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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Oracle DBからの乗り換えで大幅なコスト削減を謳うのが、日本IBMのリレーショナルデータベース「DB2」である。日本IBM (以下、IBM)ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント&BA事業部 テクノロジー・エバンジェリストの中林紀彦氏にその効果を聞いた。

幅広くなったデータベースの選択肢

日本IBM (以下、IBM)ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント&BA事業部 テクノロジー・エバンジェリストの中林紀彦氏

 業務アプリケーションの基盤となるソフトウェアであるデータベース(DB)は、古くからオラクルのデータベースが高いシェアを誇っている。幅広い業界・業種で多くの実績を持つOracle DBは、オープン系システムのデータベースとして標準的に採用されているといって過言ではないだろう。しかし、21世紀に入ってやや状況が変化している。IBM DB2やマイクロソフトのSQL Serverなどのライバルが力をつけてきたのに加え、データベースの技術自体がコモディティ化。PostgreSQLやMySQLなどオープンソース系DBが台頭し、最近ではXML DBやKey-ValueなどノンSQL系のデータベースも増えているので、選択肢はさらに多彩になっている。こうしたなかコスト削減を武器に、Oracle DBからの乗り換え施策を古くから積極的に推進しているのがIBMだ。

 「Enterprise Editionで比較すると、DB2を5年間で使った場合、ランニングコストはOracle DBの約半分になります」と語るのが、日本IBMのテクノロジー・エバンジェリストの中林紀彦氏だ。以下の試算例を見ればわかるとおり、まずOracle DBではオプション提供しているのに、DB2だと標準搭載されているという機能は多い。たとえば、DB2には高可用性やパーティショニング、チューニングツール、管理ツールなどがあらかじめ含まれており、初年度の保守料もライセンスに込まれているという。

ライセンスコスト比較例(日本IBMによる試算)
 DB2 9 Enterprise Server EditionOracle 11g Enterprise Edition
基本ライセンス(1コア)461万7000円516万3000円
高可用オプション(1コア)基本ライセンス料金に含まれるActive Data Guard(108万7000円)
パーティショニング基本ライセンス料金に含まれるPartitioning(125万円)
管理ツール基本ライセンス料金に含まれるDiagnostics Pack(54万3500円)
チューニングツール基本ライセンス料金に含まれるTuning Pack(54万3500円)
初年度保守料金  基本ライセンス料金に含まれる       Enterprise Edition(113万5860円)+Active Data Guard(23万9140円)+Partitioning(27万5000円)+Diagnostics Pack(11万9570円)+Tuning Pack(11万9570円)=188万9140円
ライセンス+初年度保守:A461万7000円1047万6140円
2年目以降5年目までの保守:B92万3400円×4 = 3,693,600円188万9140円×4=755万6560円
1コアで5年間稼働した場合(A+B)831万600円1803万2700円
8コアで5年間稼働した場合(A+B)×86648万4800円1億4426万1600円

 その他、DB2 9.7でのコスト削減ポイントとしては、DB管理タスクの自動化が挙げられる。DB管理タスクの自動化に関しては、ワークロードの変更に応じてシステムの動作やメモリ調整を行なう自動調整、障害などからの自動回復、設定の自動構成などの機能がある。そのため、データベースの管理者の負荷を大きく軽減できるという。また、9.7で搭載されている圧縮機能もコスト削減につながる。「ストレージ容量を削減できますし、データが減るのでパフォーマンスもよくなります。重複が多いと圧縮の効果が大きく、最大83%削減したお客さんもいます」(中林氏)ということだ。

Oracle DBのアプリケーションがそのまま動く

 とはいえ、実際の乗り換えにはなかなか勇気が要る。データベースを変更すると、上で動いている業務アプリケーションまで設計し直す必要が出てくるからだ。「それまでもコスト削減のメッセージは出していたのですが、一番の障壁がアプリケーションの移行でした」(中林氏)。

 これに対して最新のDB2 9.7では、Oracle DB互換機能を搭載している。Oracle DBの言語であるPL/SQLに対応したほか、独自の関数やデータ型までサポートした。そのため、基本的にOracle DBで動いているアプリケーションはそのままDB2でも動く。また、Oracle DBのスキルがDB2でも使えるというメリットがある。「Oracle DBからの移行においてライセンスや保守のコスト削減効果をレポートするアセスメントサービスも提供しています。またシンプルなデータを簡単にDB2に移行できるツールも用意しています」(中林氏)とのことで、手厚い移行施策が用意されている。

 既存のアプリケーションはそのまま動く、エンジニアが持っているスキルも使える、そしてコストが減るということで、もはや移行しない理由がない。しかし、実際は「Oracle DBを使い続けているエンジニアのマインドバリアを崩すのは大変です」(中林氏)というのも事実。そのため、セミナーなどで実際に触れてもらう機会を多く設けているという。

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