バッテリー駆動時間
データシートによれば、Celeron SU2300のTDPは約10W、Atom N280のTDPは約2.5Wとされる。数値として差は大きいが、CPUのTDPがそのままノートパソコンのバッテリ駆動時間を決めるわけではない、ということは皆さんご存じのとおり。
実際にネットブックとCULVノートのバッテリ駆動時間(公称値)を比較してみると、dynabook UX/23のバッテリー駆動時間が最大約4時間なのに対して、dynabook MX MX/33は9.5時間。dynabook MX/43に至っては約10.5時間という長駆動時間を誇る(いずれもJEITA測定法1.0による)。他社のCULVノートでも、バッテリー駆動時間は8時間前後がざらだ。バッテリー駆動時間についても、CULVノートに軍配が上がる。
Windows 7
Windows 7の登場によって、ネットブックのOSは軒並み「Windows 7 Starter」に置き換わった。NECの「LaVie Light BL530/VH6」のように、一部に「Windows 7 Home Premium」を採用する製品もあるが、基本的にはすべてStarterと考えていい。対するCULVノートはどれも、Windows 7 Home Premiumを搭載する。
周知のとおり、Windows 7の最下位エディションとなるStarterは、Home Premiumの機能の一部が制限されている(関連記事)。制限されている機能としては、Windows Aero非対応、デスクトップの壁紙設定などテーマのカスタマイズ制限、外部ディスプレー出力不可、Media Center非搭載などが挙げられる。
また、Home PremiumがH.264など最新の動画コーデックを標準搭載するのに対して、Starterの場合はMPEG2コーデックすら標準ではない。プリインストールされているメディアプレーヤーでは、外付けDVDドライブをつないでも、DVDを再生できないわけだ。
使い方にもよるだろうが、OS自体の機能が豊富なCULVノートのほうが使い勝手はよいだろう。
なお余談ではあるが、Windows 7 Starterを搭載するネットブックは、チップセットにIntel 945GSE Expressを搭載しており、グラフィック機能自体はAeroに対応する。実際にはネットブックでも、Windows 7 Home Premiumはそれなりに動作する。そこでStarter搭載のネットブックは、オンラインでOSをアップグレードできる「Windows Anytime Upgrade」を利用して、Home Premiumにアップグレードするという手段があることを紹介したい。アップグレード価格は9240円とそれほど高額ではない。
価格とまとめ
最終的な決め手となるのは、ネットブックとCULVノートの価格帯の違いだろう。ネットブックの中心価格帯は5万円前後。国内大手メーカー品でOffice付属モデルになると、7万円前後となる。対するCULVノートの中心価格帯は、7万円前後から製品によっては10万円を超える。
これまでの比較のとおり、この2ジャンルを比較すれば、高価格帯にあるCULVノートのほうが機能的に優れているのは当たり前。そこにある2~5万円の価格差にどれだけの価値を見いだせるかが、選択のポイントとなる。
すでに自分用のパソコンがあり、外出中にメールチェックやウェブ閲覧をする程度の純粋な「サブノートパソコン」として低価格モバイルノートを求めるのであれば、携帯しやすさで勝るネットブックの選択がオススメといえる。
しかし、モバイルノートに「仕事で快適に使いたい」「動画も楽しみたい」といったプラスアルファの使い勝手を求めるのであれば、数万円の追加投資をしてでもCULVノートを選ぶ価値はある。また、自分用のサブノートではなく、自分以外の家族が持つ「ファーストPC」としてモバイルノート検討しているような場合であれば、多用途に使えるCULVノートを選ぶべきだろう。
結局のところ、サブノートとして「ネットブックかCULVノートか」を選択する場合、サブマシンとしてどこまでの機能を要求するかという「割り切り」をどこに置くのか、それにつきることになる。
CULVノートは、モバイルノート市場ではまだ新参者だ。今後各メーカーから同クラスの製品が登場してくると、より選択肢は広がる。今でこそ「モバイルノート」の一勢力としてネットブックと比較されるCULVノートだが、あるいは「ミドルスペックの普通のノートパソコン」として定着する可能性もある。まずはその先駆けとして1台手にしてみてはいかがだろうか。
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