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1回の呼びかけで2万枚のイラストを集める「pixivファンタジア」

2009年10月09日 16時00分更新

文● ノトフ

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参加者の投稿イラスト2万枚、もちろん全部見てます

――pixivにゲーム的な要素を入れるというのは面白い発想だなと思いました。

もともと「ロマンシング サ・ガ」などマルチシナリオタイプのRPGが好きだったという。「好きにシナリオを作っていく」発想の源はそこから

aroha J pixivは数値が見られるのが普通の個人サイトとは違っていること、それと、他の方の投稿がリアルタイムで見られるというところから、ゲーム的なことは出来ないのかというのを思いつきました。


――もともとゲームがお好きだったんですか?

aroha J 好きですね。「ロマンシング サ・ガ」とか、マルチシナリオタイプ※5の自由に動けるRPGがすごく好きで、その影響もありますね。もちろんドラクエやFFもやってますが、一番好きなのはサ・ガシリーズですね。

※5 マルチシナリオ: RPGなどのゲームで、キャラクターやシナリオを複数から自由に選択できるシステムのこと


――企画を始めて、他のゲームやファンタジーに関する勉強もされていますか。

aroha J やっています。他のことをやるって重要だと思うんですよ。情報が入ってこないと次に続かないと思うんですよね。他のゲームをやったり、本を読んだり。pixivファンタジアをやるときは、一番調べ物をするときなんですよ。


――ゲームの感覚自体は、TRPGに近い感じがしました。

aroha J 「TRPGをやったことがある?」って良く聞かれるんですけど、ないんですよ。存在はうっすらと知っていたんですけど、どういうゲームなのかは知らなかったですね。TRPG畑の人から「pixivファンタジアはルールが少なすぎる」みたいなことを言われた事はあります。面白い要素があれば、詳しい人にルールを聞いて取り入れていきたいとは思いますね。


――今のルールはごくシンプルなものですよね。

aroha J そうですね。Ⅰ~Ⅲと続けてきて、まず第一に考えたのは「参加しやすい」ということですね。設定やルールなどを一番最初に考えて、それを出しきったところで、どこまで分かりやすく出来るかという感じで削っていきます。最低限の要素で、分かりやすく。

「国」の名前でタグが付けられたイラストの数々。イラストだけではなくマンガを描く参加者も


――イベントやストーリーは、ご自身で考えられるんですか。

aroha J 最初に大まかに何パターンかルートみたいなものを考えています。ここでこの国が負けたらこう進む、みたいな感じで。マルチエンディング形式ですね。そしてその勝敗は参加者が決すると。だからエンディングの流れは考えてますが、どれになるかはユーザーの投稿次第になってます。


――参加者が作ったストーリーを見ながら、新たにイベントを思いついたりすることもありますか?

aroha J やや、ありますね。参加してる人が進行しやすいように、微調整してます。ベースとなる設定はありますが、参加者の方で大きな動きとかがあったら、それを尊重してイベントを組んだり。


――国の舞台背景や設定でユーザーの参加率が変わって来るのは難しそうですね。

aroha J そこは一番考えてますね。例えば、ダークファンタジー系って、好きな人が多いんですね。Ⅰ~Ⅱだと、閲覧数が一番多かったのはそのジャンルです。東洋アジア系は熱心に好きな人が多いですけど、投稿数は今まででも最下位なんですね。どうにかして、その投稿数が平均になるようなファンタジー的な要素を考えて、国の設定などを決めてます。


――バランスを取るための判断は感覚的なものですか。それともデータを見ながら定量的に。

aroha J 両方ですね。自分だったらどうかっていうのも考えて。あとはユーザーの参加動向とかも見つつ……そのために参加者のイラストは全部見ています。


――全部ですか! 何千、何万の投稿数ですよね。

pixivファンタジアⅢへのイラスト投稿数は2万3000枚を超える。そのすべてに目を通しているという

aroha J Ⅰで3000枚、Ⅱで6000枚ですね。Ⅲに至ってはその4倍で2万3000枚くらいです。Ⅱまでは全部見て、ブックマークしています。Ⅲも最初に6000枚まではブックマークしたんですけど、ある日、投稿されたイラスト100枚をブックマークして、ようやく終わったと思ったら投稿が300枚増えていたということがあったんですね。

 100枚ブックマークするのはだいたい1時間かかるので、これはもう無理だろうと(笑)。参加者の方の投稿はすべて見たいという思いはあったので、見てはいるんです。ただブックマークには企画主が見てるよという意味も込めていたので、それが出来なくなったのはちょっと悲しいところですね。

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