このページの本文へ

新世代ストレージ戦国時代 第2回

10GbE時代、iSCSIはFCをしのぐ?

iSCSIは遅くない!デルのEquallogic製品戦略とは?

2009年08月25日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

8月24日、デルはストレージ戦略に関するプレスブリーフィングを行なった。iSCSIに対応したイコールロジック製品の動向や、競合他社への対応、FCoEへの取り組みなども説明された。

iSCSI市場で強みを発揮するDell Equallogic

 プレスブリーフィングにおいて、米デルのストレージ シニアマネージャのトラヴィス・ヴィジル氏は、仮想化を中心にストレージのトレンドについて解説。「中規模企業のサーバの仮想化を計画しており、2015年には70パーセントが全面的に仮想化を実現する」と調査会社の数値を基に仮想化の進展について説明した。こうした中、仮想化の導入で多くの企業で最初に使うのが、イコールロジックのiSCSIストレージだという。

ストレージ戦略を語る米デルのストレージ シニアマネージャのトラヴィス・ヴィジル氏

 同社は、古くから「PowerVault」ブランドでDAS(Direct Attached Storage)やNAS(Network Attached Storage)を提供するほか、DELL|EMCブランドでファイバチャネル(FC)製品をおもにエンタープライズ向けに展開する。そして、2008年にiSCSIストレージを提供するイコールロジックを買収。「Dell Equallogic」ブランドで製品を積極的に展開し、iSCSI市場で高いシェアを実現している。

仮想サーバと仮想ストレージをIPをベースに構成

 同社の分析では、イコールロジックのiSCSIベースのSANと、マルチプロトコルSAN、FC-SAN、DASの3つのストレージソリューションを比べると、総所有コストに明確な違いが出ることが明らかになったとのこと。イコールロジックのiSCSI SANではハードウェアやソフトウェア、接続に関するコストが低くて済み、仮想化を行なうことで、管理にかかる手間と人件費も大幅に軽減できる。そのため、マルチプロトコルSAN、FC-SAN、DASに比べて、iSCSIでは半分から1/3まで下げることが可能になるという

Dell Equallogic製品では、総所有コストに大きな優位性が見られるという

 イコールロジックのiSCSIベースのSAN製品では、ストレージの物理アドレスを持たせず、動的にプールを生成できる。高速で安価なEthernetのメリットを活かしつつ、FCに比べても高いパフォーマンスを実現可能だという。こうしたイコールロジックの優位点について、ヴィジル氏は「既存のx86ベースのSANソリューションに比べて、専用機のDell Equallogic製品は3倍近い高いパフォーマンスが得られる。しかも性能と容量のニーズに柔軟に答えられる」と述べている。

 また、「エンタープライズ向けではない」と揶揄されることも多いiSCSIに関しても、「iSCSIは遅いというイメージがあるが、これは間違っている」(ヴィジル氏)という結論を出す。同社によると、10Gbps EthernetでのiSCSIは、8GbpsのFCを凌駕し、最大71%というコスト削減幅を実現できるという。エンタープライズクラスを自認するイコールロジック製品では、コントローラを冗長化しているため、信頼性も確保する。

 さらにEthernetベースのSANで注目されるFCoE(FC over Ethernet)に関しても、あくまで「既存のFCユーザーが10Gbpsに行くための橋渡し」(ヴィジル氏)という位置づけと考える。

これは確かに魅力的!
PS6000でデモンストレーション

 ブリーフィングの後、工場出荷状態の「Dell Equallogic PS6000」のセットアップを実行するデモンストレーションも行なわれた。

 管理用のPCからウィザードを使って、LAN上のPS6000を探し、見えてきたシリアルを追加。あとはネットワーク関連のアドレスや仮想化グループなどを入力し、オプション有無をチェックボックスで入力していけば、セットアップが完了した。

デルの山田祐輔氏により、イコールロジックのセットアップデモも行なわれた

 iSCSIでボリュームを割り当てるPCや認証情報の登録、容量設定なども、ウィザードも実行できる。「セットアップやボリューム拡張、増設までもGUIツールやウィザードを使って行なえるので、自分で導入や設定を行なうというユーザーも増えています(デル株式会社 システムソリューションズ 統括本部 イコールロジック ・ビジネス本部 ストレージソリューション アーキテクト 山田祐輔氏)とのこと。

 その他、動画ファイルを再生したまま、RAIDレベルの混在した状態での容量やノードの追加、スナップショットからのファイル復旧、物理容量以上の容量を仮想的に割り当てるシンプロビジョニングなどのデモも行なわれ、ストレージ仮想化のメリットを体験できた。

■関連サイト

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード