ストレージベンダーのアイシロン・システムズ(アイシロン)は、仮想化に最適な「Virtualizetion Pack」を発表した。日本法人代表取締役を務めるティム・グッドウィン氏に日本独自というパッケージの内容と登場の背景について聞く。
簡単に増やせるアイシロンのメリットが
仮想化の悩みを解消
アイシロンは、「ノード」と呼ばれる専用ストレージ装置を相互接続してクラスタ化するクラスタストレージのベンダーとして知られる。「OneFS」という専用ファイルシステムにより、ペタバイトクラスまでの拡張が可能で、増設もきわめて短時間で終わるというのが、大きなメリット。ファイルシステム自体にデータ冗長化の仕組みを持たせているため、信頼性も高い。最近は「スケールアウトNAS」といった呼び方を推進しており、エンタープライスの市場への浸透を図っている。
このアイシロンが昨今流行しているサーバ仮想化環境向けに提供するのが、新製品のVirtualizetion Packである。これはサーバ仮想化に必要なストレージやソフトウェアをまとめたもの。1.92TBの「Isilon IQ1920x」ノード3台で5.7TBを実現したパックと、6TBの「Isilon IQ6000x」ノード3台で18TBを実現するパックの2つが用意される。パックの中には、ディスクへの無制限のスナップショットを実現する「SnapshotIQ」、負荷分散とフェールオーバを可能にする「SmartConnect」、簡易なリソース管理やシンプロビジョニングを提供する「SmartQuotas」などOneFS用のソフトウェアも含まれており、サーバ仮想化に必要なストレージ環境を完全にまかなえるようになっている。
こうした仮想化パックの登場には、仮想化環境に同社のスケールアウトNASが最適というメッセージが込められている。ティム氏にいわせれば、「既存のSANやNAS製品は設定や管理が複雑で拡張性も乏しく、台数を増やせば増やすほど、ヘッドユニットに負荷が集まり、パフォーマンスが落ちます」という状態で、仮想化のメリットを帳消しにしてしまう。まさにinSANity(狂気の沙汰)(ティム氏)だという。
これに対して、アイシロンのスケールアウトNASであれば、ユーザーのニーズに合わせて容量と性能をパラレルに伸ばすことができる。もちろん、単一のファイルシステムなので、設定や管理も容易。8月にはVMware Readyの認定も取得しており、最新のVMware vSphere4との互換性も確保されているという。今まで同社が訴えてきた拡張性やパフォーマンスのメリットが、仮想化環境でもそのまま活きるというわけだ。
こうした仮想化環境での活用例として、ティム氏は仮想マシン環境をユーザーに対してサービスで提供しているサージアントの例を挙げた。「サージアントは、開発などの用途として約4000台の仮想マシンをユーザーに提供していますが、パフォーマンスや拡張性の問題から既存のNASをアイシロンのスケールアウトNASにリプレイスしました。現在、12TB×5ノードで運用されています」とのことだ。
今までアイシロンは巨大なデータを扱うサービスプロバイダやクリエイタ系の顧客がメインだが、今後は仮想化構築に強いパートナーとともに新しいスケールアウトNASの市場を開拓していきたいという。
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